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The Clarinet vol.72 Close Up
原点回帰 ─伊藤寛隆
2020年12月にクラリネットリサイタルを開催する日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者の伊藤寛隆氏。演奏や指導などで忙しい生活を過ごしていた日々が、コロナウイルスによる3ヶ月の自粛期間、突如として何も予定がなくなった。この期間に改めてクラリネット、音楽と向き合ったことで、得られたことは大きかったという。
取材協力:セントラル楽器/プロ アルテ ムジケ
写真:山口 敦
クラリネット研究、そしてコンサート
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これまでに数多くのリサイタルを行なわれていますね。
伊藤
演奏家として活動の軸となるのはまずソロです。オーケストラは音楽の一端を担う専門職であり、音楽家としての主たる活動とは考えていないですね。
一音楽家として何をするか、この分野の専門家としてソロ奏者として演奏することと思っています。
一音楽家として何をするか、この分野の専門家としてソロ奏者として演奏することと思っています。
―
伊藤さんのコンサートはテーマがあるものが多いですが、今回は?
伊藤
一言で言うのは難しいですね。外山雄三先生にクラリネット五重奏曲の作曲をお願いした時は、その素晴らしい作品を世界初演する目的を持って開催しましたし、長年暖めて演奏していたマックス・レーガーのクラリネット作品は、2016年5月11日の没後100年の命日に全作品を演奏しようと日を特定して開催したりと様々です。
今回は3月から3ヶ月にわたる自粛期間がありました。僕はクラリネットを始めた中学生の時からお世話になっているセントラル楽器に毎日通い、自分の音楽家としての精進をしました。ここ(セントラル楽器)は僕の音楽家としての人生をサポートしてきてくれた自分にとってはセカンドハウスのような場所です。ここでクラネットと向き合っている中、今回のリサイタルをやろうという意気込みが生まれました。
日本フィルハーモニーの本拠地でもある杉並公会堂、ここの小ホールでやろうと思ったのも何かこの時期ならではの思いがあったのだと思います。コロナの状況があって、ホールもガイドラインを作らないといけません。当然聴衆は減りますが、少人数の方々に聴いていただくコンサートもいいものです。特にクラリネットはそうかと思います。
共演していただく出羽真理さんも僕の思いに賛同してくれました。彼女は僕が学生時代から活躍されていた大ベテラン、僕もたくさんお世話になってきました。それなら、今回はブラームスのソナタをやろうと思い立てたプログラムです。
リースはベートーヴェンの研究家で、今年はベートーヴェンの生誕250年というメモリアルイヤーということで選びました。『感傷的なソナタ』はリースの中でも演奏されることがほとんどない曲ですが、真理さんのピアノのキャラクターにも合うと思います。
ドヴォルザークは、ブラームスが認めた作曲家の一人で、同時代に活動していました。そのせいかブラームスの『ソナタ』の間に挟んでもまったく違和感がない、とパッと思いついたんです。
今回は3月から3ヶ月にわたる自粛期間がありました。僕はクラリネットを始めた中学生の時からお世話になっているセントラル楽器に毎日通い、自分の音楽家としての精進をしました。ここ(セントラル楽器)は僕の音楽家としての人生をサポートしてきてくれた自分にとってはセカンドハウスのような場所です。ここでクラネットと向き合っている中、今回のリサイタルをやろうという意気込みが生まれました。
日本フィルハーモニーの本拠地でもある杉並公会堂、ここの小ホールでやろうと思ったのも何かこの時期ならではの思いがあったのだと思います。コロナの状況があって、ホールもガイドラインを作らないといけません。当然聴衆は減りますが、少人数の方々に聴いていただくコンサートもいいものです。特にクラリネットはそうかと思います。
共演していただく出羽真理さんも僕の思いに賛同してくれました。彼女は僕が学生時代から活躍されていた大ベテラン、僕もたくさんお世話になってきました。それなら、今回はブラームスのソナタをやろうと思い立てたプログラムです。
リースはベートーヴェンの研究家で、今年はベートーヴェンの生誕250年というメモリアルイヤーということで選びました。『感傷的なソナタ』はリースの中でも演奏されることがほとんどない曲ですが、真理さんのピアノのキャラクターにも合うと思います。
ドヴォルザークは、ブラームスが認めた作曲家の一人で、同時代に活動していました。そのせいかブラームスの『ソナタ』の間に挟んでもまったく違和感がない、とパッと思いついたんです。
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伊藤寛隆さんからのオススメ動画
日本フィルハーモニー交響楽団が日本の叙情歌をオーケストラで演奏し録音したもの。
今は亡き南安雄先生が「朧月夜」だけはクラリネットのソロにアレンジされていて、 皆様に癒しと安らぎのひと時をお届けできれば思い、ちょうどこのコロナ禍の自粛中にアップされた。クラリネットソロは伊藤寛隆氏が演奏。たくさんのクラリネットの方にぜひ聴いていただきたい。
Concert Information
伊藤寛隆 クラリネットリサイタル
[日時]12/14(月)19:00開演
[会場]杉並公会堂 小ホール(東京)
[出演]伊藤寛隆(Cl)、出羽真理(Pf)
[曲目]F.リース:感傷的なソナタ 作品169、J.ブラームス:ソナタ ヘ短調 作品120−1、A.ドヴォルザーク:ユモレスク 作品101より 第3番 第7番、J.ブラームス:ソナタ 変ホ長調 作品120−2
[料金]全席指定¥5,000 学生¥3,000
[問合せ]プロ アルテ ムジケ 03-3943-6677
[会場]杉並公会堂 小ホール(東京)
[出演]伊藤寛隆(Cl)、出羽真理(Pf)
[曲目]F.リース:感傷的なソナタ 作品169、J.ブラームス:ソナタ ヘ短調 作品120−1、A.ドヴォルザーク:ユモレスク 作品101より 第3番 第7番、J.ブラームス:ソナタ 変ホ長調 作品120−2
[料金]全席指定¥5,000 学生¥3,000
[問合せ]プロ アルテ ムジケ 03-3943-6677
伊藤寛隆│Hirotaka Ito
日本フィルハーモニー交響楽団 首席クラリネット奏者。中学校の吹奏楽部でクラリネットに出会い、角田晃氏に手ほどきを受ける。1990年洗足学園大学音楽学部を優秀賞を受けて卒業。第4回日本木管コンクールクラリネット部門第3位、第4回日本クラリネットコンクール第2位(1位なし)などを受賞。ソロリサイタルも数多く行なっており、その中でも2009年のリサイタルでは外山雄三氏にクラリネット五重奏曲を委嘱し世界初演。2016年にはマックス・レーガー没後100年の命日に彼のクラリネット作品全曲演奏会というリサイタルを行ない、各方面で高い評価を得た。国立音楽大学及び大学院客員准教授、同大学付属中学高等学校特別講師、洗足学園音楽大学客員教授、尚美ミュージックカレッジ・ディプロマ科にて後進の指導に当たる。1999年より横浜みなとみらいホールジルヴェスターオーケストラの首席奏者を務める。ビュッフェ・クランポン・ジャパン専属講師。ダダリオアーティスト。一般社団法人日本クラリネット協会理事。