クラリネット記事 新しいクラリネット四重奏の可能性を開く ─The Narmen Clarinet Ensemble
  クラリネット記事 新しいクラリネット四重奏の可能性を開く ─The Narmen Clarinet Ensemble
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The Clarinet vol.72 Close Up

新しいクラリネット四重奏の可能性を開く ─The Narmen Clarinet Ensemble

2015年に結成した“ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブル”は、亀居優斗、吉本拓、三界達義、和川聖也の4名から成るクラリネット四重奏団。9月1日の東京オペラシティ リサイタルホールでのコンサートを終え、間違いなくこれからのクラリネット界を牽引していくであろうクラリネット奏者たちだ。今回はその結成から未来までを訊いた。

 

キャンプでの再会がアンサンブル結成に

ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブル(以下 ナルマン)を結成したきっかけは?
三界
亀居さん、吉本と僕の三人は東京藝術大学出身で、亀居さんから誘われて、2015年にNHK交響楽団の伊藤圭先生が講師をなさっていた宮城クラリネットキャンプに行きました。宮城に向かっていたところ、同じ電車に和川が乗っていたんです。実は和川は僕の母親のソルフェージュの生徒だったので、高校時代から顔見知りでした。キャンプ中も4人とも同じ部屋で、同年代ということもあってすごく仲良くなり、そのときに亀居さんが「この4人でアンサンブルやってみたらどうだろ?」と。
その後不定期ではありましたが、練習を重ねて2018年3月に初めてのコンサートを開催しました。
“ナルマン”にはどんな意味があるのですか?
三界
キャンプを行なったのが宮城県の鳴子という場所で、そこの名物の鳴子まんじゅう(なるまん)に複数名詞のMenを掛け合わせてNarmen(ナルマン)という、造語みたいなものです。
“ナルマン”は、クラリネット奏者の十亀正司氏がプロデュースされていますね。
亀居
最初のコンサートまでは自分たちで運営していたのですが、十亀先生とドルチェ楽器が共同で行なっている企画があり、それに僕たちも出演させてほしいとアプローチをしたんです。当初東京公演のみでしたが、僕が愛知県出身、吉本が兵庫県出身なので、ドルチェ楽器のある名古屋、大阪でも公演ができないかと提案しました。ありがたいことに先生も僕たちのアンサンブルを気に入ってくれて、それ以来十亀先生が主宰されている亀の子音楽工房にプロデュースしてもらうことになりました。
9月1日に東京オペラシティで行なわれたリサイタルでは、アコーディオン奏者のcobaさんに楽曲を依頼されたそうですね。
和川
今回の演奏会のプログラムはすべてクラリネット四重奏のオリジナル作品ということで、僕たちにとって、ある意味挑戦しがいのあるものでした。cobaさんの楽曲は『楽天家に捧ぐ螺旋』も演奏しました。
亀居
委嘱作品は8~10分ぐらいの曲で、特殊管はE♭クラ、アルトクラ、バスクラは必要であれば使ってください、と伝えました。曲の構想はcobaさんにお願いしました。

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The Narmen Clarinet Ensemble ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブル

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWS vol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

亀居優斗

亀居優斗

第15回クラリネット コンクール一般部門第一位併せてグランプリ受賞。その他第87回日本音楽コンクールなど多くのコンクールで上位入賞を果たす。これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。東京藝術大学器楽科を卒業。現在、東京佼成ウインドオーケストラ楽団員。
 
吉本拓

吉本拓

関西学院大学社会学部を経て、東京藝術大学を卒業。卒業時に同声会賞を受賞。在学時に、ソリストとして藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。第29回宝塚ベガ音楽コンクール入選、第30回日本木管コンクール第3位。これまでにクラリネットを藤井一男、山本正治、伊藤圭の各氏に師事。
 
三界達義

三界達義

第13回日本アンサンブルコンクールジュニア大賞、第16回日本ジュニア管打楽器金賞などで上位入賞。東京藝術大学を卒業、卒業時にアカンサス音楽賞を受賞。同声会新人演奏会に出演。現在同大学音楽研究科修士課程2年に在籍中。これまでに三界秀実、野田祐介、山本正治、十亀正司、伊藤圭の各氏に師事。広島交響楽団クラリネット奏者。
 
和川聖也

和川聖也

東京音楽大学を卒業。2018年度東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルにてコンサートマスターを務める。東京音楽大学主催卒業演奏会、ヤマハ新人演奏会に出演。これまでにクラリネットを中村めぐみ、伊藤圭、亀井良信、三界秀実の各氏に師事。2017年度、2018年度東京音楽大学給費奨学生。現在、桐朋学園大学研究科2年次在学中。
 
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