第1回 | リードの育て方から、ちょっと問題のあるリードの対処法
● まずはリードの見極めから
薄め本番用、普通本番用、厚め本番用、普段の練習用をすべて用意できるようにしたいと思います。そこで、まずしなければならないのは“リードの見極め”です。新しいリードは水分を吸い込みやすく、すぐに変化してしまうので、一枚を長時間続けて吹かないようにしましょう。そのリードがどういう状態なのかを判断するのに、封を開けてから丸3日はかかると思ってください。
1. 箱を開けリードをケースから取り出す
2. 10枚並べる
3. ひと舐めし、1枚につき10〜15秒ずつ音を出してみる
4. 良かった順、または薄い順に並べる
5. リードケースなどにしまい、自然乾燥させる(約1日くらい)
6. 2に戻る。(これを3回繰り返す。)
この作業を最低でも3回は繰り返します。ですから、最低でもリードの見極めが終わるのに3日間はかかることになります。その3日間で、並べる順位の変動を確認し、良い、薄い、普通、厚い、の4段階に分けます。「良い」に分類されたリードはそのまま使えば良いし、それ以外のイマイチなリードには削ったりして手を加えていきます。
リードに手を加えるために用意するもの
1.普段使用しているよりも厚めのリード
2.フィニッシングペーパー80番
3ウォータープルーフペーパー320番、800番
4.ガラス板(厚手のもの、10センチx10センチくらい)
※これくらいのサイズならガラス屋さんがタダでわけてくれることもあります。
※当然削って調整するのですから、普段3を使ってる人は3½を、3½を使っている人は4の箱のリードを買って始めてください。
● 今回のまとめ
今回はリードの見極めについて紹介しました。ひとつ注意があります。リードを削ったりする前に、まず“こんな感じの音を出したい”という、音色のイメージを頭の中に描きましょう。リードを削ってただ吹きやすくするだけなら簡単ですが、それでは演奏の役に立ちません。身近に先生や良いお手本がない場合は、あらゆるクラリネットのCDをとにかく聴きまくって、好きな音色を見つけてください。もちろんリードだけの問題ではないことも大いにありますから、一度話のわかるプロや専門家に相談してみることも必要かもしれません(まったくリードに手を加えないプロも世の中にはたくさんいますからね……)。
次号は、いよいよ実際にリードを削るノウハウをお教えしようと思います。今回紹介した道具は東急ハンズなどで簡単に手に入りますから、次回までにみなさんも準備しておいてくださいね。それでは!
取材協力:ドルチェ楽器 管楽器アヴェニュー東京
次回更新もお楽しみに!
木村健雄さん
東京都出身。東京藝術大学、フランス国立ルエイユ・マルメゾン音楽院卒業。帰国後、ソリスト、フリーのオーケストラ、室内楽奏者として活動。とりわけE♭クラリネットからコントラバスクラリネットまでこなすスペシャリストとして国内外のオーケストラ、吹奏楽団の数多くの演奏会、CD録音、DVD録画に参加。また海外からの現代音楽祭出演招待も多く、2005年に韓国大邸国際現代音楽祭、2006年にポーランド・ワルシャワ・ラボラトリウム現代音楽祭、2007年、2008年、2014年にソウル市ディメンション国際現代音楽祭などにメインゲストとして出演。現在、アンサンブル・インタラクティブ・トキオ、東京クラリネットアンサンブル、アマデウスクインテットのメンバーとしても活躍。尚美学園大学、聖徳大学の各講師。
木村健雄