第12回「プロが使うリードとは……後編」
クラリネット奏者につきものの悩みと言えるのがリード。使えるリードが見つからなくて困っているという読者も多いことだろう。それを解決していこうという当コーナー。今回は前号に引き続き、実際にプロのクラリネット奏者はどんなリードをどのように使っているのかを探る。後編となる今回は、練習と本番のリードについて……。
講師 木村健雄さん
こんにちは、木村健雄です。 今回は前号に引き続き「プロが使うリードとは……」後編です。プロの奏者が実際に練習を含めてどういうリードの使い方をしているのか、というお話。人によっては1週間に10箱は開けるという人もいますし、1ヶ月に1、2箱という人もいます。
(The Clarinet vol.44発売当時のまま掲載しています。)
● プロの練習とは……
在りし日の三島勝輔氏
我々の日々の練習とは、音色は後回しにして(もちろん一般的な音色を保つ技術は確認の上です)、「間違った音を吹かないための練習」にほとんどの時間を使っています。様々なアンブシュアのポジションやフィンガリング等、どんな条件、情況下でも野球で言えば打率10割を打ち続けるために、必ず成功する良いイメージをひたすら反復練習し、自分の脳と身体が正確に反応する正しい記憶を身につけることです。
私の師匠、故三島勝輔先生がよくおっしゃっていた「1000回の繰り返し練習をするなら、990回まではゆっくりなテンポでやれ。インテンポでの練習は最後の10回で充分」とは、まさにこのことです。他人様の前へ出て演奏するのであるから、それくらいの心構えは当然で、プロとして最低限守らなければならないマナーであるということです。
1000回もの反復練習をするには、膨大な量の練習用リードを必要とします。1箱10枚中、良いリードが1枚しかなくても、あとの9枚を練習で使えば良いわけで「お前なんかヘタなんだから9割は練習用が要るだろう。良いリードなんて1箱に1枚でも多すぎるくらいだよ」と、師匠に言われるなら納得できますが、リードメーカーに言われると腹が立ちます。
▶︎次のページに続きます。
・本当はリードには困っていない……!?
・「三島勝輔先生の練習の鬼伝説」