第15回|何でもかんでもリードのせいにするんじゃない、オマエは大丈夫なのか?
講師 木村健雄さん
こんにちは、木村健雄です。 今回まで4年に亘り、リードの育て方から調整法などについて連載をしてきましたが、最も重要かつ忘れてはならないことを後回しにしてきました。それは楽器を吹く“こちら側”のこと。今回はリードを選びはじめる前に、まずチェックしておきたい、自分はどうなっているか?……について考えていきたいと思います。
(The Clarinet vol.47発売当時のまま掲載しています。)
厳しく生徒を指導することで有名な某先生は、レッスン中に生徒がリードを替えようとすると、ひどく怒ったそうです。真意はとてもよく理解できます。本番が始まってしまったらリードを交換するヒマなんかありません。どんなリードが付いていようが、それを吹き続けるしかないのです。
私の同級生(現在も現役のプロ奏者)が学生時代、その先生のレッスンを受けていた時にダメリードを間違えて付けてしまっていたことに気付き、「すみません、リードを替えます」と、つい言ってしまったとか……。レッスン室の空気が凍りついたのは、言うまでもありません。すると先生はひと言、「そうか、もっと良いリードがあるんだな」。しまった!! と思った時にはすでに手遅れ。あまりの動揺に10枚入りのリードケースごと床にばらまいてしまい、どれがどのリードか分からなくなってしまったとか……。
リードの良し悪しなんて、よほどのことでない限り、他人には分からないもの。意外なほど本人のみが気になっているだけなのです。多少の差異ならば我慢して吹け、というありがたい教えだと思います。
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・同じことを正確に繰り返せるか?
・イメージはあるか?