Lesson4 ロングトーンその4
「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪
2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。
Lesson4 ロングトーンその4─ロングトーンエピソード
初めまして、The Narmen Clarinet Ensembleの亀居優斗です。第四弾の今回はロングトーンに関するエピソードを、とのお願いでしたので、僕の体験談をお話しさせていただこうと思います。
♪ロングトーンにハマった中学時代
一度目は中学3年生の時。
エントリーしていたソロコンクールの本選に進むことになった結果、学校の定期演奏会と日程が重なり1人定期演奏会に出られなくなってしまった時でした。合奏も曲のパート練習も参加していなかったので、部活動はほぼ自分一人での練習で終わりという日々がある程度続き、どうしようかな〜と思った時に午前中はロングトーンしかしない!と決めて2、3時間ほど毎日ロングトーンをしたことがありました。
♩=60 半音階で最低音から上のFくらいまでを何往復も。
毎日やるならただ吹くだけじゃなく音程の癖も掴みたいなと思って毎日ノートに高いなら「↑」、合ってるなら「→」、低いなら「↓」を書いてパッと見て毎日の推移がわかるように書いてました、今思えばよくやるなーと思います(笑)。
ただそれをやったおかげもあって音程ムラや音ごとのムラがだいぶ改善された気がします。
中学3年生の時の吹奏楽コンクールでの記念写真、手のひらに人と書いて飲むと緊張しないというおまじないをアレンジしてパートリーダーだった花木さんの花という字をみんなで手のひらに書きました
♪毎日やることでコンディションがわかる
そのあとは随分と間隔が空いて大学4年生の時に2回目のブームが。
大学3年と4年の間の春休みで人生初、ヨーロッパへ行きました。目的はベルギーでの国際コンクールに参加することでしたがその前にはフランスにも行き、オーケストラの演奏を聴いたりレッスンを聴講したりしました。たくさんの刺激を受け帰ってきた時に思ったことは音楽的表現や運指的な技術の足りなさももちろんですが、鳴らしている音の質の違いを大きく感じました。まるで頭蓋骨が鳴っているようなしっかりと振動している響き。日本人であまり感じない響きを体感しました。
人一倍音色にはこだわりがあるほうだと自負していたので(笑)、そこだけは負けないように頑張らねばなという思いでその刺激からロングトーンに注力しました。意識することは響きと音色、響きを保ちつつも温かみのある音色を求め、その結果イメージに近い安定した音を出せるようになりました。当時ほどではないですが、今もコンディションを整えるためにロングトーンに取り組みます。大体取り組んでない日が続くとコンディションが崩れるのですぐわかります(笑)。
やり方は一通りではないし、人それぞれ求めることが違うので同じようにやればいいわけじゃないですが、何か自分のこだわりを見つけて努力すればきっといい成長につながると思います。
ただやるのではなくなぜやるのか、どうしたら自分のためになるのか、ぜひ考えながら取り組んでみてください。
大学の卒業式での記念写真、同期のクラリネット6人と同じタイミングでご退官された山本正治先生との集合写真
亀居優斗 Yuto Kamei
第15回 クラリネット アンサンブルコンクール 一般部門 第1位併せてグランプリ受賞。第87回 日本音楽コンクール 入選。第17回東京音楽コンクール 第3位位併せて聴衆賞受賞。第30回日本木管コンクール 第2位。2017年 名古屋フィルハーモニー交響楽団とモーツァルトの協奏曲を共演。これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。R.ギュイオのマスタークラスを受講。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科を卒業。2017年度 青山財団奨学生、瀬木芸術財団短期海外研修奨学生。現在、東京佼成ウインドオーケストラ楽団。
次回の公開は12月25日(金)に、吉本拓さんによる「タンギングその1 なぜ速くできない? なぜタンギングが甘くなる?」をお届けする予定です。お楽しみに!