クラリネット記事 Lesson9  音色 その1
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ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson9  音色 その1

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行う。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson9 音色その1─きれいな音色ってどんな音?

こんにちは! 和川聖也です。今回からは、「音色」についてお話ししていきます。
クラリネットに限らず、音楽をする上でとても大切な音色。どんなにテクニックが優れていたり、表現が素晴らしくても、音色が良くなければ説得力に欠けてしまうなんてことも…。そんな状況に陥らないために、良い音色作りに取り組んでいきましょう!

 

♪きれいな音色ってどんな音?

では、そんなきれいな音色、良い音色とは何か。
よく、先生や先輩から「丸い音!」なんて言われることが多いかと思います。
「えっ、丸い音……?」
かなり抽象的で伝わりにくいですよね。

僕の考えるきれいな音色は、『リードが斑(むら)なく振動し、口の中のスペースが狭すぎず、息が楽器全体に流れている時の音』です。

リードがよく振動しなければリード楽器は致命的ですよね。リード全体が斑なく振動するものを選びましょう。いろんな息のスピードや音量で試してみてください。スピードの遅い息で振動する、且つ速い息でも暴れないものが好ましいです。
あまり振動しないリード、息を入れても詰まってしまうリード、極端に硬すぎる・柔らかすぎるリードはNGです。
また、よく振動するリードは、倍音を含むとても響きのある音色がします。出来るだけたくさんのリードを用意して、懲りずに探せると良いかと思います。


次に口の中についてですが、こちらもよく、先生や先輩から「まるでピンポン玉や卵を口の中に含んでいる時のような、“オ”の口で……」なんて言われることがあるかと思います。

実際にそのように口を広げて楽器を吹いてみると、スゴイ音が出ます……。
このことからあくまでイメージだと分かりますね。(笑)

でも逆に、口の中を狭くするとリードが潰れてしまって振動しないので、音が鳴りません。
では、どうしたら良いか……。
僕は『上の奥から2本目の歯に、舌の後ろのほうを当てて口の中のスペースを確保する』ことが好ましいと思います。
先ほどの、ただ口を広げることをすると舌が下がりすぎてしまい、音程も低く音色も広がりすぎてしまいます。
舌を奥歯に当てることで、自然と口の中にほどよいスペースができます。

 

♪参考にした音色

最後に参考にした音色についてお話しします。
僕が参考にした音色は、当たり前ですが、周りの先生、先輩、憧れのクラリネット奏者の方の音です。何度も聴いて、耳をそばだててたくさん分析をしました。自分の音とは何が違うのか、何が一緒なのか……。たくさん考え、たくさん試すことが素敵な音色につながる第一歩です。

そして、CDや動画サイト等で演奏を聞く際、特定の演奏や音を聴くのではなく、いろんな音に触れることが大切です。もちろんクラリネットの音だけではなく。
耳を養うことは音楽家にとっての要です。日々いろんな音楽、音に触れるようにしましょう。

 

♪まとめ

今回は「きれいな音色」についてお話しさせていただきました。
音色は、場面やシチュエーションによって求められるものが大きく変化します。まずは、リードをよく振動させることを意識し、口の中のスペースが狭くなりすぎないように注意しましょう。
場面に沿った「きれいな音色」を奏でられるように、たくさんの音楽を自分の中にインプットしていきましょう。

 

 
 
 
今回の執筆者は……

和川聖也 Seiya Wakawa

千葉県立幕張総合高校を経て、東京音楽大学を卒業。2018年度東京音楽大学シンフォニックウインドアンサンブルにてコンサートマスターを務める。東京音楽大学主催卒業演奏会、ヤマハ新人演奏会に出演。これまでにクラリネットを、中村めぐみ、伊藤圭、亀井良信、三界秀実の各氏に師事。P.ベロー氏のマスタークラスを受講。ビュッフェ・クランポン主催欧日音楽講座にて、M.アリニョン、F.エオーの各氏のレッスンを受ける。2017年度、2018年度 東京音楽大学給費奨学生。
現在、桐朋学園大学研究科2年次在学中。

 


次回の公開は3月5日(金)に、亀居優斗さんによる「音色その2─音色練習法 基礎編」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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