クラリネット記事 Lesson10  音色 その2
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ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson10  音色 その2

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson10 音色その2─音色練習法─基礎編

こんにちは、亀居です。
今回は音色練習法─基礎練です。
このお題を見た時に音色の向上に対しての基礎練ってあるのかなと考えました。

 

♪まずは大好きな音色を探すこと

結論から言うと音色は、普段の基礎練習をしつつ、自分よりもレベルの高い人から学ぶ(盗む)ものだと思います。
例えば近い人だと学校の先輩や教えに来てくれる先生、そしてプロのコンサートやCDなど。
人それぞれいい音と思う音は違うと思います。求める音も違います、それはアマチュアでもプロでも変わりません、個人の感性です。
皆さんは自分が大好きな音はありますか?
音色をよくするにはまず自分の大好きな音色を探すことが一番いいと思います。色々なCD、そして演奏会を聴いて、この人! この音! という憧れを見つけましょう。そしてその音に近づくためにはどうしたらいいのか、自分になくて憧れの音にはあるものはなにか考えてみましょう。
自分の中で考えることで何を求めているのかより具体的になると思います。

 

♪腹式呼吸とは?

憧れの音が見つかったら次は普段の基礎練習の際の身体の使い方について意識してみましょう。
具体的には呼吸の方法と喉の開きです。
先生や先輩から腹式呼吸というものをよく聞くと思います。でもなかなかわかりにくいことですよね、
肺に息を入れるのにどうしてお腹なの?と思うかもしれません。
腹式呼吸はたくさん息を入れることで肺が膨らみ、その下にある横隔膜が下がることで胸式呼吸よりも息が入ることができる呼吸法です。
腹式呼吸がうまくできると吸うときは横隔膜が下がり内臓が押し出されてお腹が膨らみます。そして吐く時は押し出した分の息を使うためお腹が凹みます。横隔膜がポンプのような役割をしてくれるわけです。下の図を参照にしてみてください。最初は起き上がった姿勢ではなく横になって取り組んでみてください。
腹式呼吸は本来就寝中や食事中など体がリラックスしている時に使われる呼吸です。

以下のようにやってみましょう。

・仰向けに寝て体の力を抜く
・鼻からゆっくりと息をいっぱい吸う
・息を吸い切ったら2秒間止める
・喉や首に力を入れず、なるべく静かに口から息を出し切る。
※はじめは長時間やらないようにしましょう。

慣れてきたら普段の生活でも取り入れていきましょう。腹式呼吸は副交感神経が働き、リラックスできるだけではなく、心肺機能の向上、そして代謝が上がり、ダイエット効果もあります(笑)。

 

♪喉を開いて口元をコントロール

次に喉の開き方です。
音色が詰まってしまう、または不安定になってしまう人に多いのは喉を締めすぎてしまうのが原因のことが多いです。
喉を締めてしまう原因は力んでしまっていることと息の量が足りないこと、が原因として挙げられます。
これらの原因は腹式呼吸を正しく行なうことで改善できます。
胸式呼吸は腹式呼吸の逆で交感神経が働く呼吸です。緊張やストレスで体に力が入ってしまっている状態ですので思い当たる人は呼吸をぜひ見直してみてください。最近だと○滅の刃のなんとかの呼吸、ですね、あれができればバッチリです(笑)。
吸った息を出す時は喉を締めてまとめるのではなく、喉を開いて口元をコントロールして息圧を高めるようにしましょう。そうすることで安定した息を出すことができ、音色の安定につながると思います。
庭の水やりでホースの先を摘むと水の勢いが増すのが同じ原理です。水量は変えずに勢いを増やすのと同様に、同じ息量で効率よく楽器に息を送り込みましょう。

以上のことを普段行なっている基礎練中の際に意識して取り組んでください。
あとはリードやマウスピース、マウスピースパッチなどの消耗品は使い込みすぎないように。何ヶ月も同じリードを使ったりいつのかわからないマウスピースを使ってもいい音は出ません。クラリネットをやる以上、消耗品はなるべくいい状態をキープできるように努めてください。
楽器も定期的にメンテナンスに出しましょう。壊れてから出すのは遅いです。
これらのことを行うだけでかなりいい音色を出す近道になると思います。

極論は練習あるのみですね、練習しないでいい音出せる人はいません。たくさん練習して考えて、たくさんプロの良い演奏をきいて過ごしてくださいね。それではまた。

 
 
 
 
今回の執筆者は……

亀居優斗 Yuto Kamei

第15回 クラリネット アンサンブルコンクール 一般部門 第1位併せてグランプリ受賞。第87回 日本音楽コンクール 入選。第17回東京音楽コンクール 第3位位併せて聴衆賞受賞。第30回日本木管コンクール 第2位。2017年 名古屋フィルハーモニー交響楽団とモーツァルトの協奏曲を共演。これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。R.ギュイオのマスタークラスを受講。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科を卒業。2017年度 青山財団奨学生、瀬木芸術財団短期海外研修奨学生。現在、東京佼成ウインドオーケストラ楽団。

 


次回の公開は3月19日(金)に、三界達義さんによる「音色その3 音色練習法─楽曲を使った練習」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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