Lesson15 スケール その3
「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪
2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。
Lesson15 スケール その4─よりレベルアップできるスケール練習
皆さんこんにちは!The Narmen Clarinet Ensembleの吉本です。
今回は「よりレベルアップできるスケール練習」について紹介していきたいと思います。
前回、三界くんが紹介したスケールの練習に基づいて、今回は応用編となります。
さらにスケール練習を楽しみ、そして曲へ繋げていくために是非チャレンジしてみて下さい!
♪アーティキュレーションの決まりごと
前回はC durでスラー、タンギングのパターンをご紹介しましたが、今回はさらにアーティキュレーションを用いてみましょう。こうすることで、さらに指と舌が合いやすくなります。
この時にも、
①ゆっくり、音を良く聴くこと
②しっかりとした息の流れ
③舌の動き
に注意にてみてくだささい。
さらにその上で、スラーのかかっている2音目に注意してみてください。この音はタンギングはしませんが、少し短く処理をします。これは西洋音楽を演奏する上での「決まりごと」のようなものです。
言葉で説明するのが難しいのですが、スラーのついた2つの音を吹く時には、最初の音に少し重みが乗り、2音目はその重みが抜けていくようなイメージでしょうか。2音をよく聴き、丁寧に処理することでフレーズ全体がより表情豊かになってくると思います。
♪リズムを変えて
さて、今度はリズムを変えてやってみましょう。
付点のリズムです。1オクターブで書きましたが、可能な人は2オクターブでやってみてください。
はじめは必ずメトロノームを使い、♩=60の倍にして♪=120で鳴らしてみてください。8分音符で刻まれていると付点のリズムが正確に取れると思います。
これが頭の中で自然にできるようになるのが理想ですが、慣れるまでには結構時間がかかります。しっかりとした付点のリズムで吹くというのは実はかなり難しく、なんとなくの付点で吹くのとはとても大きな違いです。
また、付点のリズムで練習することによって「指の癖」を減らすことが出来ます。スケールの中でも簡単に指が動いて転んでしまう箇所と、動きにくくて遅くなってしまう箇所があるかと思います。16分音符→付点8分音符のところで指の動きに注意してみてください。力が入りすぎていませんか? 高く上がりすぎていませんか?
無理のないテンポから観察しながらやってみてください。
♪まとめ
C durが出来るようになれば、G dur、F dur ……etc、のようにどんどんチャレンジしてみましょう!
曲の中で登場する連符の多くはスケールで成り立っていることがほとんどです。スケールをバラして、色々な角度から練習することで曲をより表情豊かに、そして安定して吹けるようになってくるでしょう。
吉本 拓 Taku Yoshimoto
関西学院大学社会学部を経て、東京藝術大学を卒業。卒業時に同声会賞を受賞。
また在学中に、東京藝術大学モーニングコンサートにソリストとして出演し、藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。第29回宝塚ベガ音楽コンクール 木管部門入選。
第30回日本木管コンクール第3位。
平成30年度青山音楽財団奨学生、瀬木芸術財団海外研修奨学生。
これまでにクラリネットを藤井一男、山本正治、伊藤圭の各氏に師事。
次回の公開は5月28日(金)に、和川聖也さんによる「スケール4 スケールに関するエピソード」をお届けする予定です。お楽しみに!