クラリネット記事 Lesson20  音程 その4
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ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson20  音程 その4

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson20 音程その4  音程はこうやって取得した

こんにちは、亀居です。
音程って難しいですよね。自分も完璧な音程は取れてないですしクラリネットを演奏する上で取得した!となれる日は来ないと思ってます。でもどれだけ正しい音程(日本の吹奏楽だとA=442)に近づけるかは大事です。
クラリネットはただ息を入れて演奏すれば正しい音程が出る楽器ではありません。振れ幅はとても大きいです。
なので自分の中で音程のイメージを持つことが一番大事な要素だと思います。また定期的にチューナーなどで音程を確認したり、楽器の持つ音程の癖を知ったりすることが必要です。

 

♪楽器の傾向を把握する

僕は中学生の頃ロングトーンの際にノートに音程の癖を毎日つけて取り組んだりしました(ロングトーンのエッセイでも書きました)。
そうすることで楽器と自分の音程感の癖が少しずつわかり、対策することができました。
おおよそクラリネットとしての音程の傾向はありますが楽器メーカーによって、さらに言えば同じ楽器でも個体によって少しずつ違います。なので「絶対にこう!」というものはなく、自分が持っている楽器の傾向を把握して上手に付き合うことが大事です。
特に中高生の皆さんが使う楽器は調整が行き届いていない可能性もあり、どうしようもできないくらい音程が悪い音もあるかもしれません。傾向を把握することは自分の楽器のメンテナンス状況を知ることもできる機会です。

 

♪ゆっくりから取り組む

そして一番重要と言いましたが、音程のイメージを持つことが大事です。「この音は高くなる」とわかっていてもどれくらい高いのか、どれくらい下げたらいいのかがわからないと日替わりの音程になってしまい、意味がありません。そのため音を出す前に自分の頭の中で鳴らしたい音程の音をイメージしましょう。それから演奏するだけでかなり改善されると思います。
最初から曲でやろうとしても難しいのでまずはロングトーンやスケールで、ゆっくりから取り組んでください。イメージして、音を出してチューナーで確認して……を繰り返すことで少しずつですが自分の中に音程感というものがついてくると思います。
頭の中で鳴らすのが難しければハミングしたり歌ってみてチューナーで確認してみてもいいと思います。
音程はすぐ劇的にはよくならないので焦らず少しずつ取り組みましょう。
毎日意識するだけで意識していない人との違いはどんどん出てきます。
ほかにはプロの演奏家の演奏会に行ったり、動画を見たりしましょう。上手なプレイヤーは必然的に音程も良いです。その人たちから音程を盗むような感覚で聴いてみてください。そういう意識も音程改善の策です。もちろん音楽的な表現や音色感、いろいろなことをいい演奏家から盗んでくださいね。

 

♪まとめ

いつも同じようなことになってしまいますが…
まとめると
①楽器は完全なものと思わずに扱う
②楽器の手入れは定期的に
③常に自分の中でイメージをする
④たくさんプロの演奏を聴く

こんな感じです。
自分は上記のことをやってきて音程感が徐々に培ってきたなーと感じてます!
いい音楽ができるように音程感もしっかりと育てていきましょう!

 
 
 
今回の執筆者は……

亀居優斗 Yuto Kamei

第15回 クラリネット アンサンブルコンクール 一般部門 第1位併せてグランプリ受賞。第87回 日本音楽コンクール 入選。第17回東京音楽コンクール 第3位位併せて聴衆賞受賞。第30回日本木管コンクール 第2位、第10回日本クラリネットコンクール第2位。2017年 名古屋フィルハーモニー交響楽団とモーツァルトの協奏曲を共演。これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。R.ギュイオのマスタークラスを受講。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科を卒業。2017年度 青山財団奨学生、瀬木芸術財団短期海外研修奨学生。現在、東京佼成ウインドオーケストラ楽団。

 


次回は8月6日(金)に、吉本拓さんによる「フィンガリング1 初心者用フィンガリング練習」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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