Lesson21 フィンガリング その1
「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪
2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。
Lesson21 フィンガリング1 初心者向けフィンガリング練習
皆さんこんにちは!
The Narmen Clarinet Ensembleの吉本です。
今回は「フィンガリング1 初心者向けフィンガリング練習」というテーマでお話させていただきたいと思います!
クラリネットを演奏する上で指に関しての悩みは付き物ですよね。少しでも楽しく演奏ができるようにお役に立てれば嬉しいです。
♪正しく構える
クラリネットを始めたての方によく見られるのが、指の第一関節が潰れて(へこんで)しまっていることです。吹くことに一生懸命になると指にも力が加わってしまい、指のお腹の部分でしっかり押さえようと、トーンホールを力強く押しつけてしまいます。そうなると滑らかに指も動かせず、音のつながりにも影響が出てきてしまいます。
指は力を抜いて自然に丸くなった形で、楽器を構えるようにしましょう。
慣れてしまえば意識せずにできるようになるのでトーンホールを塞ぐ感覚が掴めるまで注意してみてください。自分で確認しずらい時は全身鏡などを使って確認すると良いと思います。
また、サムレスト(右手親指で支えるところ)を調整できる場合は最も構えやすいところに調整してみてみましょう。
♪ 効率よく指を動かすために
慣れてきたら、今度は指の高さにも注目してみましょう。音を出すときに使っていない指はどうなっていますか? 高く上がりすぎたり、ピーンと伸びてしまっていませんか?
そうなってしまうと、その指を使ってふさぐ時にとても時間がかかってしまい、効率が悪くなってしまいます。
先程の脱力した指の自然な丸い形を意識して、下の譜例を使ってチェックしてみましょう。
なるべく、指を確認できるように鏡を見ながらやってみてください。トーンホールから少し離すだけで音は変わります。力一杯バタバタ動かすというより優しく押さえる、優しく離す、という意識を持ってみてください。
慣れてきたら、上記の譜例以外の他の音でも同じようにやってみましょう。
大切なことは、リラックスしてゆっくり取り組むことと、気楽に休憩しながら取り組むことです。あまり無理にシビアにやってしまうと手が疲れてしまうので、のんびりやってみてくださいね。
♪スロート付近の指
スロート音域のソ♯、ラ、ラ♯はクラリネットの運指の中でも少し特別な存在です。
このあたりの音は、左手の人差し指の側面をつかってキーを押さえます。楽器を始めたての方で人差し指の根元の方で押さえてしまっている人がよくいるのですが、なるべく、第二関節よりも先端側でキーを押さえるようにしてください。その時にも他の指が伸びたり、暴れてしまわないようにリラックスできていることも注意しましょう。
人それぞれ、手の大きさや筋力は違いますが、今回は基本的な指の形の部分を中心に話してみました!
楽器を始めたての方も慣れてしまえば自然と綺麗に構えるようになってくると思うので、気楽に取り組んでみてください。あまり神経質にならず頭の片隅に置いておくくらいで良いと思います。
吉本 拓 Taku Yoshimoto
関西学院大学社会学部を経て、東京藝術大学を卒業。卒業時に同声会賞を受賞。
また在学中に、東京藝術大学モーニングコンサートにソリストとして出演し、藝大フィルハーモニア管弦楽団と共演。第29回宝塚ベガ音楽コンクール 木管部門入選。
第30回日本木管コンクール第3位。
平成30年度青山音楽財団奨学生、瀬木芸術財団海外研修奨学生。
これまでにクラリネットを藤井一男、山本正治、伊藤圭の各氏に師事。
次回の公開は8月20日(金)に、和川聖也さんによる「フィンガリング2 中級者向けフィンガリング練習」をお届けする予定です。お楽しみに!