Lesson23 フィンガリング その3
「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪
2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。
Lesson23 フィンガリング4 上級者向けフィンガリング練習
こんにちは。亀居です。
今日はフィンガリング第三弾、上級者編ということで……。
フィンガリングと言うとなんとなく指のことだけ考えてしまいそうになりますが、僕はそうではないと思ってます。
初級・中級編で2人が書いてくれたようにそれらのことはもちろんできたほうが良いです。
指が上がりすぎたりバタバタしたり、指に力が入らないようになど、上達する上では欠かせないことになってくると思います。上級者はそれをできる人、ということでお話ししていきたいなと思います。
2人が参考例に挙げてくれた譜例を応用してみましょう。
例えばこの譜例を演奏するとき、音の重心を意識できていますか?
ただ指の練習と思っていないでしょうか?
僕はこのようなフィンガリングの練習をする時は、必ず軸となる音を決めてその音をベースに指を動かすようにしています。簡単に言えば音が動いていてもまるでロングトーンをしているかのような息遣いで演奏できればフィンガリングが上達していると思って良いと思います。楽譜にするとこういう感じです。
これをベースに音が変わっているだけ、となれるようにしましょう。
フィンガリングは指を速く動かす練習と思わず、演奏する際に指による弊害をいかに感じず演奏できるようになるか、ということを意識しましょう。
演奏する上でのメインは流れのある息遣いであることを忘れないでください。
♪取り組んでほしいエチュード
なかなかちょっとした譜例だけでは伝えきれないところもあるので、市販の楽譜でフィンガリングのおすすめの教材を紹介します。誰が取り組んでもとてもためになると思います。
それはP.Jeanjean 作曲の「Vade -Mecum 」です。
日本語で“座右の銘”と呼ばれるこの本は、毎日のトレーニングの教材としてとても効果的な教材です。
先ほど挙げた譜例をもっと長く、もっと大変にした感じです(笑)。
こちらを取り組む際、難しくてどうしても指のことばかり考えてしまいがちですが、やはり息の流れを失わないように意識して取り組んでみてください。そして指遣いとしてはそれぞれの指単体を意識するのではなく、手首を軸に指を動かすように意識しましょう。重心をおく音があるように指先でなく手首に指の重心を作ることで、無駄なく均一なフィンガリングができやすくなると思います。
まずはゆっくりから、少しずつ時間をかけてテンポを上げていって日課練習にしてみてください。
僕も調子が良くない時はこの座右の銘によく取り組みます。先輩には本当に毎日の日課練習(まさしく座右の銘!)にしている方もいます。指がスムーズに動かせて音楽に集中していけると楽器を演奏するのがもっと楽しくなるので是非取り組んでみてください。それではまた!
亀居優斗 Yuto Kamei
第15回 クラリネット アンサンブルコンクール 一般部門 第1位併せてグランプリ。
第87回日本音楽コンクール 入選。
第17回東京音楽コンクール 第3位、聴衆賞。
第30回日本木管コンクール 第2位。
第10回日本クラリネットコンクール 第2位。
第19回東京音楽コンクール 第2位、聴衆賞。(最高位)
これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。R.ギュイオのマスタークラスを受講。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科を卒業。2017年度 青山音楽財団奨学生、瀬木芸術財団短期海外研修奨学生。東京佼成ウインドオーケストラ楽団員。The Narmen Clarinet Ensemble メンバー。
次回は9月17日(金)に、三界達義さんによる「フィンガリング4 フィンガリングが苦手な人へのメッセージ」をお届けする予定です。お楽しみに!