クラリネット記事 Lesson29 吹奏楽で楽しむクラリネット その1
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ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習

Lesson29 吹奏楽で楽しむクラリネット その1

 

「ザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが伝授 やれば絶対にうまくなる基礎練習」は亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4名から成るザ・ナルマン・クラリネット・アンサンブルが、クラリネット愛好家に伝えたい基礎練習講座です。ロングトーンやタンギングなど上達に欠かせないコンテンツをメンバーがそれぞれ解説していきます。隔週の金曜日に更新していきますのでお楽しみに♪

 
○The Narmen Clarinet Ensemble
 

2018年、東京芸術大学と東京音楽大学の在学中に亀居優斗、三界達義、吉本拓、和川聖也の4人で結成されたクラリネットアンサンブル。2018年3月に初のコンサートを開催し、好評を博す。2019年にはドルチェ楽器と十亀正司氏の共同企画であるNEWSvol.6に出演し東京、名古屋、大阪の3公演を行なう。その他にも演奏会を重ね意欲的に活動中。前衛的なプログラムに挑戦している新進気鋭の若手クラリネット四重奏団である。2020年9月には、オペラシティリサイタルホールでのコンサートを開催する。

 

 

Lesson29 吹奏楽で楽しむクラリネット1 吹奏楽でのクラリネットの立ち位置

こんにちは、亀居です。
今日は吹奏楽で楽しむクラリネット、ということで吹奏楽での立ち位置についてお話ししたいと思います。

吹奏楽というのは文字通り管楽器を主体として演奏されるもの(吹いて奏でる音楽)です。国によって入る楽器や編成が少々変わりますが、日本では木管楽器を主体としたヨーロッパの流れを汲んだ編成で演奏されることが多いです。今日は日本の吹奏楽においてのクラリネットの立ち位置の話をしましょう。

 

♪クラリネットはバンドの核

一般的にクラリネットは他の楽器よりも人数が多く編成されることが多いですがそれは何故でしょうか?
僕は理由が大きく二つあると思います。
一つは楽器の音量のポテンシャルが他の楽器よりも高くないから。クラリネットは大きい音が出せなくはないですがサックスや金管楽器に比べるとどうしても音量負けしてしまいます。力任せに鳴らしても意味がなく、要するに一人頭の音量が少ないということになり、バランスを良くしようと思うと必然的に人数を多くする必要があります。


もう一つは吹奏楽のクラリネットがオーケストラではなんの楽器に値するのかということです。
オーケストラで1番人数の多い楽器といえばヴァイオリンですね。(弦楽器)吹奏楽においてクラリネット(ファミリー)は弦楽器の役割を担うことになる楽器だと思っています。


もちろんまったく一緒なわけではないですが、オーケストラのサウンドの大半を弦楽器が作り上げるように、吹奏楽ではクラリネットファミリーが全体の中でサウンドを作り上げる必要があります。つまりクラリネットはバンド全体の中心(核)となるパートになります。それはサウンドはもちろん、音楽の流れやニュアンス、タイミングすべてにおいてです。そのためオーケストラでのクラリネット奏者と吹奏楽でのクラリネット奏者は演奏方法が大きく異なってくると思っています。どちらが良い悪いと言う話ではなくその場に応じた奏法が必要ということです。

♪アンサンブル能力を高めよう

オーケストラではクラリネットは基本的には2人で演奏します。それぞれ個性の音の粒と音色感が重要視されてきますが、吹奏楽になると最低6-9人ほどクラリネットがいて、多い時には20人以上になることもあります。そうなると個性より全体でのサウンドが重要視されます。どれだけそれぞれがいい音で吹いていてもみんなで混ざらなければ意味がありません。


そのため吹奏楽でクラリネットを演奏する場合はオーケストラ以上にクラリネット同士での音の混ざりや音程感の共有を意識しなければいけません。例えばマーチでトリオのメロディを演奏したりする際のことを考えるとわかりやすいかもしれません。角が立つ音よりも柔らかく周りと溶け込むサウンドを意識して演奏するとうまくいくと思います。全員で一つの音色、音楽を作ることを心がけてみてください。
また全体を音楽的にリードしていく必要もあります。オーケストラでも弦楽器が作り上げた音楽に管楽器や打楽器は色をつけたり、深みを増したりする役割をしているのと同様に、吹奏楽ではクラリネットが音楽をリードする立ち位置にあると思います。


前回のアンサンブル編でも話した内容に近くなると思いますが、音色感、音程感はイメージの共有やコミュニケーションを取ることで大きく近づきます。クラリネット“ファミリー”としてサウンドを届けるためには個人の技術はもちろんですが、周りと合わせるアンサンブル能力を高めることも必要です。そしてそのファミリーでのサウンドと音楽を作り上げ、リードしていくことでバンド全体のサウンドが変わり、他の楽器も演奏しやすくなります。

 

♪まとめ

コロナ禍でなかなか和気藹々と部活動ができないご時世ですが、節度をもってコミュニケーションをとり、お互い寄り添い合うことを意識してみてください。
ファミリーで一つのサウンドを作り上げることができれば、全体のサウンドもまとまりやすくなりいいバンドになると思います。会話でも音楽でも仲間とコミュニケーションを取り、協和して音楽を楽しんでみてくださいね。

 

 
 
 
 
 
今回の執筆者は……

亀居優斗 Yuto Kamei

第15回 クラリネット アンサンブルコンクール 一般部門 第1位併せてグランプリ。
第87回日本音楽コンクール 入選。
第17回東京音楽コンクール 第3位、聴衆賞。
第30回日本木管コンクール 第2位。
第10回日本クラリネットコンクール 第2位。
第19回東京音楽コンクール 第2位、聴衆賞。(最高位)
これまでにクラリネットを浅井崇子、井上京、伊藤圭、亀井良信の各氏に師事。R.ギュイオのマスタークラスを受講。愛知県立明和高等学校音楽科を経て、東京藝術大学器楽科を卒業。2017年度 青山音楽財団奨学生、瀬木芸術財団短期海外研修奨学生。東京佼成ウインドオーケストラ楽団員。The Narmen Clarinet Ensemble メンバー。

 


次回は12月10日(金)に、三界達義さんによる「吹奏楽で楽しむクラリネット2  やっておきたいパート練習」をお届けする予定です。お楽しみに!

 


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