第1回 基礎練習の前に、楽器をチェック!〜タンポ、キィ、コルク編〜
皆様はじめまして。この連載を担当することになりました渡邊と申します。雰囲気はゆるーく、でも内容はストイックに!やっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
基礎練習の前にチェックしたいポイント
♪ まずは楽器をチェック!
さてさて、中学・高校に入学し、吹奏楽部に入り、クラリネットという楽器に巡り会った皆様。この楽器は他の楽器より簡単に音は出ませんし、美しい音を手にするためには険しい道のりが待っています。
だがしかしそこは恐るることなかれ!楽器が適切な状態であり、適切な練習をすれば、誰でも美しい音が出せるようになります。諦めたらそこで試合終了です。諦めずに根気よく練習していきましょう。
ここでまず大事なことが1つ。皆さんが今手にしているクラリネット。大多数の人が学校の備品だと思います。どのぐらい歴史を積み重ね、どんな修羅場をくぐり抜けてきた楽器かはわかりませんが、まずは楽器の状態が悪ければまともな音は出ません。チェックしてみましょう!
Check1 タンポをチェック!
クラリネットには指で直に押さえる穴が前面に6個、後ろ側に1個ありますが、それ以外の穴はすべてタンポという物体が押さえています。大体の場合、フェルトに薄い皮が張ってあるのですが、これが水分や経年劣化で変色、変質、下手をすれば破れたりしてしまいます。
音を出した時に「チー」とか「ジー」とか雑音が 入ってしまう場合はタンポの状態が良くないことが原因になっていることが多いです。茶色く変色していないか、破れていないか、表面が波打っていないかチェックしましょう。怪しいものは交換がオススメです。
また、普段から楽器を片付ける時にクリーニングペーパーで水分を吸い取ってから片付ける習慣をつけましょう。
Check2 キィは曲がってない?
これは特に下管に起こりやすい事故。楽器を組み立てたり片付ける時に、キィを握りしめていませんか?左手小指で操作するキィたちは、少しの力で曲がってしまいます。
1つのキィを押した時に、他のキィにぶつかってしまっていないかチェックしましょう。曲がっていたら楽器屋さんへ修理に出すこと。組み立てる時は写真のように持って組み立てましょう。
Check3 コルクもチェック!
楽器についているコルクも経年変化で硬くなってしまいます。特に上管と下管の連結部分は左手中指の部分を押さえながら組み立てないと、ここについているコルクが削れたり消し飛んだりしてしまいます。右手で穴を押さえた時にガチャガチャ音がしたら危険です。
そしてこれから夏に向かうにあたり、楽器が抜けなくなったりする事故が多発するのも、このコルクの変化が原因です。力任せにやってしまうと、キィが曲がったり恐ろしいことが起きますので、大人しく楽器屋さんに頼んでコルクを張り替えてもらいましょう。
Check4 キィはちゃんと機能していますか
下管の小指が担当するキィは、押さえると下管の下のほうにある穴をふさぎます。キィを押さえた時に、穴がしっかりふさがっているかチェックしましょう。
キィを押さえているのにタンポが浮いてしまっている状態ではちゃんと音が出てくれません。もう1つ、下管の穴を押さえた時に、一緒に上管の中指穴のすぐ上にあるタンポがちゃんとふさがっているかもチェック!
このチェックポイントがクリアできていないと、いくら皆さんにやる気があってもちゃんとした音は出てくれません。音が出ない、上手くならないと嘆く前に、楽器の状態を確認しましょう。そして楽器の調整は1年に一度は必ず出すように。これを怠っていると、ひどい状態の楽器をお店に持っていくことになり、高額請求されますのでご注意を。マメに調整に出していれば、結果的に修理代を抑えることにもなるのでお得です。
渡邊一毅
Kazuki Watanabe
兵庫県立神戸高等学校を経て東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
室内楽、吹奏楽、オーケストラ、ミュージカルなど多岐に渡り活動する一方で、指揮活動も含め後進への指導にも積極的に取り組み、指導した団体は吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテストなどで全国大会出場多数。また各地にて各コンクール審査員も務める。
スタジオワークも多く、アニメ、ゲーム、映画、TVドラマ、CM等録音多数。
また、下記団体において数多くの編曲を手がけ、楽譜が出版されている。
オブロークラリネットアンサンブルE♭クラリネット奏者。ブリッツ・フィルハーモニックウインズ コンサートマスター。
クラリネット五重奏団Penta-CLam、東京セレーノバスクラリネットアンサンブル【木炭】、山本拓夫木管6重奏Halocline各メンバー。
2018年1stアルバム「Triptyque」発売。
現在、洗足学園音楽大学、相愛大学講師。音楽教室「黒笛音楽塾。」主宰。
公式サイト「黒笛危機一髪。」