第2回 基礎練習の前に、楽器をチェック!〜マウスピース、リガチャー編〜
続・基礎練習の前にチェックしたいポイント
マイ・マウスピースを持とう!
次に大事なもの。マウスピースです。これはもう声を大にして言いたい。「自分のマウスピースを買ってください!」と。野球部員が体操服で試合に出ますか? 水泳部員がレンタル水着で練習しますか?
ましてや私たちの場合、口に入れなきゃいけないんですよ。これまで何十人吹いたか分からないマウスピースで吹くの、僕は絶対イヤですし、心構えの問題ですね。上手くなりたいのなら絶対に必要です。
というのも、このマウスピースこそ、吹きやすさ、音色、上達速度に一番大きな影響をもたらす部品。
良くないマウスピースだと、プロでも美しい音を出すのは難しいです。もし皆さんの学校に講師の先生がいらしてくださっているなら、遠慮なくマウスピースの選定をお願いしてください。皆さんに一番合ったマウスピースを選んでくださるはずです。
うちには講師なんて来ない! という皆さんには、各楽器屋さんにある「選定品」を買うのをおすすめします。別に回し者でもなんでもないですが、まずはバンドーレン社の「5RVライヤー」というモデルがスタンダードでよろしいかと思います。
大事なのでもう一度言いますが、マウスピースは必需品です。ちゃんとしたマウスピースで吹くのとそうでないのとでは、上達速度に雲泥の差があります。自分でお小遣いを貯めるなり、ご両親を説得するなりして、必ずゲットしてくださいね。
ちなみに、自分のマウスピースが手に入ったら、マウスピースパッチの使用をおすすめします。これはマウスピースの保護ももちろんですが、最初不安定になりやすいアンブシュア(口の形や上の歯の位置)を安定させやすい利点もあります。
薄いもの厚いもの、硬いもの柔らかいものと、様々な種類のパッチが出ていますので、いろいろ試してみるのも良いと思います。
パッチを装着する際に気にしていただきたい点が1点。よくマウスピースの先端ピッタリにパッチを付けているのを見かけますが、そのまま使っていると上にずり上がってきてしまいますので、先端から2~3mm下にずらした位置で貼ってあげてください。
穴が開いたり、表面がデコボコしてきたら交換のサインです。間違っても自分の歯でマウスピースを削ってしまったりすることのないように!
リガチャー、締め方間違ってない?
まだまだあります大事なもの。次はリガチャーです。これは歪んでさえいなければ、学校にある物でも大丈夫です。が、締め方が問題。大体ほとんどの人が ガッチガチに締め過ぎてしまい、わざわざ息が入りにくい状態で楽器を吹いています。
1本ネジタイプのリガチャーを使っている人はネジが完全に止まりきる少し手前で締めるのを止めてください。2本ネジタイプの人は、下側のネジは1本ネジの人と同じぐらいにして、上側のネジはそれよりももう少しゆるい状態がベストです。この締め加減をベースラインにして、使うリードに合わせて若干締めたり緩めたりの微調整を行なってあげてください。
リガチャーの装着する位置も割と重要です。マウスピースを横から見ると、2本の横線が引かれているので、その間にリガチャーが収まるように付けてあげましょう。リードの硬い皮の部分を均等に締められる位置が良いと思います。
また、ネジも手前についているものと奥についているものがありますので、右手で締められるように装着するのが正解です。ちなみに世の中にはネジのないリガチャーも存在します。
リガチャーによって、音色、発音のしやすさ、吹奏感などが変化しますので、これも色々試してみると面白いと思います。僕は今のところ、演奏する場所やジャンルに応じて、4つのリガチャーを使い分けています。
渡邊一毅
Kazuki Watanabe
兵庫県立神戸高等学校を経て東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
室内楽、吹奏楽、オーケストラ、ミュージカルなど多岐に渡り活動する一方で、指揮活動も含め後進への指導にも積極的に取り組み、指導した団体は吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテストなどで全国大会出場多数。また各地にて各コンクール審査員も務める。
スタジオワークも多く、アニメ、ゲーム、映画、TVドラマ、CM等録音多数。
また、下記団体において数多くの編曲を手がけ、楽譜が出版されている。
オブロークラリネットアンサンブルE♭クラリネット奏者。ブリッツ・フィルハーモニックウインズ コンサートマスター。
クラリネット五重奏団Penta-CLam、東京セレーノバスクラリネットアンサンブル【木炭】、山本拓夫木管6重奏Halocline各メンバー。
2018年1stアルバム「Triptyque」発売。
現在、洗足学園音楽大学、相愛大学講師。音楽教室「黒笛音楽塾。」主宰。
公式サイト「黒笛危機一髪。」