クラリネット記事 最終回  極上の軽やかさを求めて
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その練習法大丈夫?クラリネットが上手〜くなるための基礎練習

最終回 極上の軽やかさを求めて

スタッカート練習

第13回のアタックのところでも触れましたが、スタッカートは舌で息を切る奏法です。息を止めて音を切るのはスタッカートではありません。舌で音を切る感覚を養うために、譜例①をやってみましょう。
休符のところで息を止めてしまわず、息は吐いたままで舌で息をせき止めます。この時、舌を押し付けてしまうと次の発音の時に雑音が混じったりリードミスになったりするので、あくまで浅く触っておくのがポイントです。しっかり舌で切ることで、音の形を四角にするイメージを持ちましょう。

譜例①

では次に、指を動かしながらタンギングを合わせていく練習です。(譜例②

譜例②

これは曲の練習にも応用が可能で、アーティキュレーション(旋律の中でスラーがかかっていたりかかっていなかったりすること)を伴った旋律の場合、まずは全部スラーで息の流れと指が確実に回っているかをチェックした後、指にタンギングを合わせていくという方法が最も効果的です。
タンギングが入ってくると、舌をつくことが最前面に出てきてしまったりするので、まずは息と指、これを大事にしましょうということですね。あともう一つ超重要なのが、スタッカートの直前のスラーは短く切るということです。今回は丁寧にスラーの終わりにもスタッカートを打ってありますが、これは省略されることのほうが多いくせに短く切るのが常識という厄介なシロモノです。
他人の家の玄関では、書いてなくても靴を脱ぐ、というのと一緒です。これを無視するとメロディが全然かっこよくならなくなるので要注意!
この練習は、スケールと組み合わせて練習するのも効果的です。いろんな調とアーティキュレーションで練習してみてください。

目指せ極上の軽やかさ!

ここまで練習してきたスタッカートを含めたタンギングは、クラリネットにとって最も魅力的な部分の一つです。僕も含め、プロの演奏家ですらタンギングは悩みの種ですので、一朝一夕にはできるようにならないかもしれませんが、苦手意識を払拭しキレイなタンギングを手に入れて、軽快なマーチやコミカルなキャラクターを表現できるようになりましょう!

あとがき

今回が最終回ということで、これまで14回にわたって連載してきましたが、いかがでしたでしょうか。最初は初心者を対象に、ということだったのですが、書き始めたら初心者から上級者まで対象になってしまいました(笑)。
今回取り上げた基礎練習というのは、第4回でも書きましたが、自分の音をよく聴くことが大切です。新しいことにトライした時に、前の自分より良い音になっているか、理想の音に近づけているかがわかる、ということが一番大事になるわけです。
初心者の皆さんにとっては、よくわからないかもしれません。そういう時は客観的に聴いてくれる人に聴いてもらうのもいいですね。そんな人周りにいない! という人は是非僕のやっている『黒笛音楽塾。』に一度来てみてください♪ 全国各地でレッスンをやっていますので、うちの町にも来て! というのも大歓迎ですし、質問メールをどんどん送ってもらって大丈夫です。某知恵袋やSNSでは目を覆いたくなるような情報が氾濫していたりしますので、是非僕に聞いてください。詳しくはwebで!
と、最後は宣伝になってしましましたが(笑)、皆さんの上達と、楽器に対する情熱がますます燃え上がることを期待しています。

ご愛読ありがとうございました!

 

登場するアーティスト
画像

渡邊一毅
Kazuki Watanabe

兵庫県立神戸高等学校を経て東京藝術大学音楽学部器楽科卒業。
室内楽、吹奏楽、オーケストラ、ミュージカルなど多岐に渡り活動する一方で、指揮活動も含め後進への指導にも積極的に取り組み、指導した団体は吹奏楽コンクール、アンサンブルコンテストなどで全国大会出場多数。また各地にて各コンクール審査員も務める。
スタジオワークも多く、アニメ、ゲーム、映画、TVドラマ、CM等録音多数。
また、下記団体において数多くの編曲を手がけ、楽譜が出版されている。
オブロークラリネットアンサンブルE♭クラリネット奏者。ブリッツ・フィルハーモニックウインズ コンサートマスター。
クラリネット五重奏団Penta-CLam、東京セレーノバスクラリネットアンサンブル【木炭】、山本拓夫木管6重奏Halocline各メンバー。
2018年1stアルバム「Triptyque」発売。
現在、洗足学園音楽大学、相愛大学講師。音楽教室「黒笛音楽塾。」主宰。
公式サイト「黒笛危機一髪。」


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