vol.1「音を飛ばす?」「噛みすぎる癖」
私たちは、1990年に吹奏楽の魅力を余すことなく世界に広げていくべく結成したシエナ・ウインド・オーケストラの、クラリネットセクションのメンバーによるアンサンブルグループで、2008年にデビューいたしました。
クラシックはもちろん、ジャズ、ポップス等、ジャンルにとらわれず、音楽を自由自在に操り、舞台と会場とが共にその音楽の生まれる瞬間を楽しめるコンサートを目指しております。
このたび連載の始まったシエナ・クラッツの「クラリネット☕Cafe 〜上手くなるためのホッと一息」では、読者の皆様とクラッツメンバー一人ひとりとで、コンサートと同様、ご一緒に盛り上げていきたいと思っております。
どうぞよろしくお願いいたします!
音を飛ばすって……?
「音を遠くに飛ばせ」と言われますが、自分で練習していて遠くまで飛んでいるのかどうかわかりません。個人練習の際に何かいい練習方法、確認方法があれば教えていただきたいです。
(岐阜市・ばっしー)
イメージ、そしてリード
飯島 私はステージに立った時、一番奥の座席を目標にし、そこに音を届けようと思って演奏しています。
黒岩 私も同じようなことで、演奏会を聴きに行った時や、自分がホールに行った時に、客席から舞台までの距離を記憶するようにしています。
飯島 イメージの問題ですが、とっても大切なことよね。
黒岩 そうなんです!音を飛ばせない人は、楽器を鳴らすことができないので、楽器全体をマウスピースだとイメージし、息を入れるといいと思うんです。
飯島 なるほどね。私の場合は、息をまとめてどんどん吹き込んで進めていく。まるで音に羽が生えているかのようにね。この時の注意点は、音を決して押さないことです。
黒岩 イメージして吹き込もうと思っても、息が入りにくいことがありませんか?これは普段息を入れないでリードをセレクトしていることが原因だと思うので、しっかり息を入れた状態でリードのセレクトをしましょう。
黒岩&飯島 ばっしーさん、目に見えない音に対してのイメージを膨らませて練習してみてくださいね(^▽^)!
噛みすぎる癖を直すには?
噛みすぎ奏法を矯正する良い方法を教えてください。
(匿名希望)
理想の音のためにアンブシュアを作ろう
佐々木 なぜ、噛みすぎだと思ったのかしら?口が痛い、ピッチが上がる、音が硬く細くなる、音が出しにくい?……もしかしたらアンブシュアを良くしたいということに繋がるのかもしれませんね。
人によって骨格も歯並びも違う。ただ単に噛む力と言っても感じ方は人それぞれ。
私は発音がしにくい、つまった感じがする時などに噛みすぎかなと思うことがありましたが、それを改善しようといろいろと試しているうちに、実は歯で噛んでいるというより、唇で締めている部分が問題ではないかと思ったのです。
上下の歯で(もちろん下の歯は下唇のクッションがありますが)、しっかりマウスピースを噛んで(挟んで)いないとリードは振動しないので音が出ませんよね。しかし唇のマウスピースをくわえる力が強すぎると、息の流れを止めてしまったり、ピッチも不安定になります。
歯で噛むということだけでなく、自分の唇と唇周辺の筋肉がどのように使われているかも考えてみると良いかもしれませんね。近藤さんはどう思います?
近藤 佐々木さんの経験談、参考になりますね。身体の作りは人によって違っても、“良い音を出したい気持ち”は一緒!
奏法を矯正したいということは、変な音だな、口が痛いな、息が入りにくいなと悩んでいるのですよね。噛みすぎるとリードの振動を妨げてしまい、音が出なかったり出にくかったり……。逆に緩すぎてもリードは振動してくれません。
では、ちょっと考え方を変えて、違う角度からかみすぎ矯正にアプローチしてみましょう!
まずは、自分が出したい理想の音を探してみましょう。コンサートや、テレビ番組、CDでもOK。その音を頭の中に響かせて、そんな音を出してみようと試みてはどうでしょうか?
頭の中で響いている理想の音を出すためには、マウスピースをどんな深さでくわえて、どんな息をどれくらい入れたらいいか、唇を両サイドにひいたり真ん中に集めたりする力は? など、いろいろ試す中に、噛む強さを変えることももちろん入れてみます。
良い音が出るアンブシュアの力のバランスを見つけたなら、その状態はきっと噛みすぎではないと思いますよ。
そんなふうに良い音のイメージがきちんとできることって、いろんな悩みを解決する糸口になったり、近道だったりすると私は思っています。佐々木さん、どう?
佐々木 そうですね! 無理のないアンブシュアで理想の音を出したいですね。理想の音をイメージしながら唇の状態を作ると噛みすぎは直るかもしれませんね。
〜Member〜