vol.19「移動ドで考えないとダメ?」
移動ドで考えないとダメ?
クラリネットを吹き始めて1年と少し経ちます。子どものころからピアノをやっていたので、絶対音感とまでいきませんが、固定ドで音楽を感じているので、クラリネットを吹くと不思議な感覚になります。クラリネットの後にピアノの練習をすると頭の中が混乱しますし、その逆も同じです。クラリネットの音色が大好きなのでずっと続けたいのですが、固定ドで音を捉える人は難しいのでしょうか?
(東京都・M.E.さん)
M.E.さん、こんにちは。佐々木理恵です。
何を隠そう実は私も固定ドです! 私は音楽大学受験の直前まですべての人が固定ドだと思っていたので、ほとんどの人がクラリネットの記譜のドがシ♭ではなく、ちゃんとドに聞こえていると知った時は本当に驚きました(笑)。
私はクラリネットを始めて6年も経ってから自分が固定ドだと気が付きました。その時にはクラリネット奏者になるべく音楽大学を受験しようと勉強をしていたので、固定ドだからクラリネットを続けるのは無理かなと考えることもなく、現在に至ってしまいました。
固定ドのプロのクラリネット奏者は、私が知っているだけでも何人もいます。私もそうですが、皆さんクラリネットのドがドに聞こえないけど、クラリネットが大好きでクラリネットで音楽がしたい! と思ってプロになったのだと思いますよ。
M.E.さんは固定ドで音楽を感じていると言うことですが、音楽はドレミを聴き取ることだけではなく、曲の景色や色彩、いろいろな感情(嬉しくなったり悲しくなったりなど)も感じ取ることができます。それを読み取るヒントは楽譜にたくさん書いてあるはず。そんなことも表現しようと考えながらクラリネットを吹いてみると、固定ドだけに縛られず演奏できるかもしれませんね。
そうは言っても譜読みする時にはどうしたら良いの? と思いますよね。
私は音符を読む時に、記譜と指使いを一致させながら吹いています。クラリネットはB♭管だけでなくA管、E♭クラリネットやアルトクラリネット(E♭管)なども演奏しなければならないので、どの楽器にも対応できるようにするためです。
これはあくまで私の譜読みの仕方であって、必ずしもこのやり方でないといけないというわけではありません。プロの方もいろいろな方法で譜読みしていると思います。
私はピアノとクラリネットでの違和感を感じたことがないのですが、M.E.さんも自分なりのクラリネットの譜読みの仕方が見つかると、違和感が解消されるかもしれませんね。
固定ドはデメリットだけでなくメリットもあります。楽譜がなくても聴いた音がわかりますし、暗譜もしやすいのです。
自分の耳と上手に付き合って、クラリネットを楽しみながら上達できると良いですね!