vol.27「「歌う」ってなに?」
「歌う」ってなに?
合奏しているときに、指揮の先生や先輩から「もっと歌って!」と言われます。心の中ではしっかり歌っているのですが、聴いている人たちには、いまいち伝わらないみたいです。もっと表情豊かに吹きたいのですが、どんな練習をしたらいいでしょうか?
(京都府・おーやんさん)
おーやんさん、こんにちは!山手寿子です!
歌うってなんだろう? 心の中で歌っているのに伝わらない……これは様々なフレーズを感じるという表現が必要となってきます。例えば国語の授業中、「はい、おーやんさん、教科書のここを読んでください」と先生に指示された時、どのように読んでいますか? 宇宙人みたいに(会ったことないですよ)いわゆる単調子に「ワ・レ・ワ・レ・ハ・ウ・チ・ュ・ウ・ジ・ン・デ・ア・ル」とは読まず、
「我々は、宇宙人である。名前はまだない……」
「我」と「宇宙」あたりに、ウエイト(アクセント、ポイント)をつけ、「名前は↗」「まだない……↘」などフレーズの上調子で強調、下調子で収めたり抑揚をつけて表現しますよね。
言葉や節にはそれぞれ意味があるように、音楽にもフレーズ、物語があり、それらを表現していくことで歌うということに繋がるのです。
大きい単位から、曲全体を見たときに、起承転結(物語)を見出し、各シーンの背景に相応しい音色をイメージ。その中から8、4、2小節などの小さい単位のフレーズをみつけ、フレーズのどこに一番ウエイトを置いたらよいか。そのためには、それぞれの音がどこへ向かって流れていくのか、 全音符を1小節伸ばすにも、音楽の流れは決して停滞せず、方向性を持ってフレーズを作る、ということなどを読み取ることができれば表情豊かに歌うことができるでしょう。
そして、その表現は自分で少し感じるだけではなかなか相手に伝えることができず、大袈裟に表現して初めて相手に伝わるものです。もちろん技術的なことも大切ですが、質の高い良い演奏(オーケストラ楽曲など)をたくさん聴いてください。様々な音楽を聴くことで、フレーズの流れを知る、同じものをまねて吹いてみると、歌うということはどういうことなのかがつかみ取れていくでしょう。
また、曲中のみならず、ロングトーンやスケール練習時に、ただ音をポーっと置くのではなく、上記のように「音の方向性を意識し、どこへ向かっていくか」「1オクターブ吹くのにも目的地までの流れを作る」など基礎練習時にも自然とできるようになると良いです。