vol.37「乾燥対策」「雑音の対処法」
冬は音色が……
シエナ・クラッツさんのコーナーをいつも楽しみにしています。私の悩みは音色です。特に寒い冬になると薄っぺらい音色しか出せなくなります。音出しはしっかりしているつもりなのですが……。シエナ・クラッツの皆さんは冬場に気をつけていること、また特別な練習法はありますか? リードの選び方なども教えてください。
(群馬県・まきさん)
まきさん、こんにちは(^-^)近藤です。
寒いですね~。そして乾燥の毎日……。春よ早く来いっ!(註:回答していただいたのは2012年初頭でした)
気温と湿度は楽器を吹く上でとても気をつけなければなりません。寒いと体が動きにくいし、乾燥すると肌はカサカサしますよね。
体のコンディションだけでなく、クラリネットやリードも人と同じように気持ち良い気候(ちょうど良い温度と湿度)が好きなのです。
良いホールのステージは温度と湿度がある程度一定に管理されています。でも、学校や家で練習するときはどうでしょうか?
私は、練習室のエアコンを付け楽器を組み立てて、20分から30分経ってから楽器を吹き始めます。ホールに行ったときもまず楽器をステージにセッティングしてからコーヒーブレイクしつつ楽器があたたまるのを待ちます。楽器が冷たいまま吹くと、良い音が出ないだけでなく割れの原因にもなりますのでご注意を。
リードケースにはヴァイタライザーという湿度調整グッズを入れています。
またエアコンが効いている夏場も同様ですが、練習開始すぐにスワブを通すのもタンポから水が出るのを防ぐのに効果的です。こういったいろんな気配りはきっと楽器にも伝わるはずです。
音があまり良くないなぁと思うのが冬場だけなら上記のことに気をつけると改善されると思いますよ。
もうひとつ気になったこと…リードが実は少し薄いのではないかしら? 気持ち厚めのものにもチャレンジしてみては? ただし、部屋と楽器の環境が整った上でリード選びをしてくださいね。
特別な練習よりも細やかな気配りが解決への近道!
雑音が出るときの対処法
先日吹奏楽のコンサートで大失敗をやらかしました……。今まで演奏会では他の人よりも変な緊張もせずこなしていたのですが、先日のコンサートでは長いソロがあったせいか、ステージに上ったとたんあがってしまい、肝心のソロではキー、キャーの音を連発し、穴があったら入りたい状態でした……。みなさんはこんな経験があるのでしょうか? それを乗り超えるためのよい方法はありますか?
(埼玉県・Y.Sさん)
Y.Sさん、こんにちは!飯島泉です。
誰にでも、多かれ少なかれ失敗はあるでしょう。クラッツのメンバーにもきっと、正直私にも、そっと胸の奥に閉まっている失敗はあります。Y.Sさんはこれまで緊張したことがなかったのですね、逆にすごい! 本番での失敗は本当にお気の毒でしたが、今後同じ失敗をしないためにも、今回の経験は無駄ではなかったように思います。
解消方法をいくつかご紹介しましょう。
まず、本番を意識し想像想定して練習することです。クラリネットの場合、Y.Sさんのようにキャーとリードミスする場合もありますが、これは緊張したことによってマウスピースを必要以上に噛み過ぎて起こることが多いのです。いよいよ自分のソロだ、皆が見てるぞ、聴いてるぞ、とわざと自分にプレッシャーを与えて練習してみましょう。
次に、本番の心構え。練習のときのように自分にプレッシャーを与えてはいけません。無駄な力を抜き、息をもう出せないというまで吐き出し、その後止めて大きく吸います。これで息は上がらず、呼吸は正常に整うはずです。マウスピースとリードの隙間がちゃんとあるか、リードの振動するスペースがあるか、イメージしましょう。
誰かが見ているとか、巧いか判断されているかもなど、余計なくだらないことは考えない、とにかく音楽に集中すること。音楽だけに100%の神経を使うこと。練習の力以上の力を本番で出すことはできません。冷静に、謙虚な気持ちでステージに立つことが必要です。Y.Sさん、大丈夫! あとは怖がらずに伸び伸びと演奏してくださいね!