vol.43「E♭クラの音程感」「バスクラのリズム感」
E♭クラの音程感
E♭クラを学校で担当しています。高いドよりも上の音がぶら下がってしまい、音程が合いません。ぶら下がらないようにするための吹き方はありますか?
(東京都・みゃおさん)
みゃおさん初めまして! シエナでE♭クラを担当している木内倫子です。
高い音がぶら下がってしまうということですが、E♭クラは、普通に吹くとシードーレ辺りの音は音程が高くなることが多いです。なので、根本的な吹き方を見直すのがいいかなあと思います。実際に見てアドバイスできれば一番いいのですが……。
みゃおさんはB♭管を吹いたことはありますか? E♭クラは、B♭管よりも少し強めにアンブシュアをつくります。ですが、マウスピースとリードの先端の隙間をつぶすように噛んでしまうと息の通り道が細くなりすぎてしまうので、先端をつぶすようなアンブシュアにならないように注意します。
あとは、息の速さにも気をつけてみてください。E♭クラの場合、B♭管よりも少しスピードのある息を使います。そして、みゃおさんが言う高い音域の場合、低い音域で使う息のスピードだとどうしても音程が上がりきらずぶら下がってしまうので、音域が上がるにつれて息のスピードも速くなります。これはB♭管でも同じで、例えば最低音のミを吹いてみて、それとまったく同じ吹き方で高いドを吹くと音程が下がりませんか? 機会があったらやってみてください。
実際に見ていないので推測ですが、みゃおさんの場合、アンブシュアが緩んでいることと、高い音域の息が遅いのではないかと思います。この二点を見直してみてください。良くなることを祈っています!
バスクラのリズム感
普段はバスクラを吹くことが多いのですが、リズムを刻むときに遅れると言われます。B♭管とどのくらいの違いでリズムを刻めばいいのでしょうか?
(埼玉県・しょーたさん)
こんにちは! バスクラの京谷麻里子です。
結論から言いますと私は「どれだけ速く」などと具体的なことを考えず、臨機応変、常時情報処理、敏速対応など心がけています。自分も遅れることがありますので。さて、ちょっと視点を変えて問題の解決の糸口を教えます。
まず基本的に指定テンポで自分が演奏できることが大事です。
次に楽器の特性を知る。もともとマウスピースの大きさも管の太さ、長さも違う楽器同士。大きい分バスクラリネットは発音に時間がかかり、実は自分のやっているつもりのイメージよりもタイミングが遅れている傾向があることを自覚してください。あとは、バスクラの音だけを仲間に聴いてもらい、評価を請うのも良い方法です。録音してみるのもアリです。
演奏している自分を第三者のように聴くのは効果的な練習方法ですが、あれこれ練習で努力しても響き具合の違うホールによっては効果なしなんてこともあります……。一口に速めに鳴らすと言ってもその度合いは勘などに頼る、感覚の技なのかもしれません。ただ、声を大にして言いたいのは、主旋律と伴奏のお互いが同じ割合で聞き合っているグループはズレの発生率は低いと思います。
アンサンブルなどもし自分がしっくりくるテンポと周りのテンポが違う場合は、恐れず提案もしてみてください。実は、低音楽器がテンポの主導権を持つような気持ちをしっかり持つことが大事なポイントでもあります。周りに「ついていく!」ではなく「ついて来い!」と言えるくらいの気持ちが重要です。