vol.49「やるべき練習は?」
やるべき練習は?
中学校の吹奏楽部でクラリネットを吹いています。が、私は下手で、先生から「もっと練習しなさい!」と毎日言われます。確かに他の人よりも指が動かないので、普段の基礎練習ではスケールとアルペジオを練習していますが、もっとやったほうがいい練習があったら教えてください。
(ペコちゃんさん・富山県)
ペコちゃんさんこんにちは! 山手寿子です。
ご自身をそんなふうにおっしゃらないでね。皆さんの一生懸命な姿は、必ず報われるときが来ます!
いわゆる基礎練習というと、スケールやロングトーンといったものを指すことも多く、それらはもちろんとても大切なものでありますが、その練習の「質」によって同じことをするにも差は出てくるのだと思います。「もっと練習をしなさい」といわれることは、時間を積むだけではなく、その練習の「質」の部分を大切にしていくという、時間の使い方を有効に無駄なくという意味もあるのかもしれません。
そのためには同じ基礎練習でもスケールやタンギング、フレージングなど、気にされている指の動きも、ただそのものに取り組むのではなく、それらを行なうために息のコントロールを大切に練習していくことが重要です。
それにはロングトーンでの安定した音作り、楽器の隅々まで鳴らし、 ppでも ffでもあたかも身体の一部であるかのようにコントロールし、しなやかに創り上げていくイメージを持ってください。
もちろん音の発音、処理にも細部まで行き届くように。ロングトーンは指に力が入りづらいですから、身体のリラックス状態も確認できます。もちろん音の方向性や音色も……。
ロングトーンひとつをとっても課題は深いです。
朝練習はロングトーンだけとか、○曜日はロングトーンでひたすら音作り……など、これでもかって、おつりがくるくらいとことん追求しましょう。何かが見えてくるはず!
まずは指を動かす云々の前にそういった息使いの体制を整えていきましょう。そうすることによってあなたの軸がしっかりと整います。その体制でスケールやアルペジオなどを吹くと、どこに息を入れてフレーズの流れをつくったらよいか、ということも自然に見えてきますし、表現も深まってくるでしょう。
指の動きももちろん指を早く回すという動作的な視点だけでなく、内から音楽的があふれ出てくるはずです。 軸が整うと何をするにもブレが生じづらくなってきますので、ペコちゃんさんの基本自体がグッっとアップしていくことでしょう。どんどん追求していってくださいね!