第1回 レガートのいろは その1 〜レガートとはなんなのか?〜
レガートをマスターしよう
アーティキュレーション(Articulation)=音の長短
皆さんはアーティキュレーションという用語を知っていると思いますが、これはもともと言葉の発音からきたもので、言葉をわかりやすいように、はっきりと音を区切って発音する方法です。
声楽あるいは器楽においても、音を切ったりつなげたりして、音型をはっきり発音する奏法を言います。一つの音価(音符、休符の表す長さ。たとえば4分音符、8分音符のこと)の長短という意味からするとレガートもスタッカートもアーティキュレーションの仲間として考えられています。
いろいろな形のアーティキュレーションがありますが、今回はレガート奏法について勉強しましょう。
レガート(Legato)
レガートは声楽に特徴的なアーティキュレーションです。クラリネットを吹くときに歌を歌っているような、声楽的な方法で演奏することは大切なことです。
レガートはフレーズの中で、スラーによって、二つ以上の音をつなぎ合わせる奏法です。「なんだそんなことくらいわかっているよ」と言うかもしれませんが、これは音を単につなぎ合わせるだけの単純な問題ではなく、アンブシュアや呼吸法、運指が深く関係しています。
まずは、クラリネットは木管楽器の中で音域がいちばん広く、機構上、音域によって響きが違うので同一の音質で音が鳴ってくれません。
木管楽器はトーンホールを指で開けたり閉めたりして管の長さ(音の高低)を変えていきます。管の長さが変わるごとに息の流れも変わっていきます。ここがポイントです。
レガートを柔らかくなめらかに聴かせるためには、管の中の気柱が長くなっても短くなっても、息の流れが乱されることなく常に一定の状態でなければなりません。これには肺から出される一定の息の量が必要になってきます。また、楽器の中に息を通すために大切なマウスピース、リードとアンブシュアの関係と、運指を正確に規則正しく柔軟に動かす技術が重要になってきます。
野崎剛史
Takeshi Nozaki
東京芸術大学卒業後、渡仏。パリ市立音楽院にてクラリネットを学ぶ。フランス国立管弦楽団の首席クラリネット奏者ギイ・ダンガン氏に師事。帰国後、東京佼成ウインドオーケストラで演奏活動を続けた。またジャズサックス奏者の坂田明、クラリネット奏者の鈴木良昭、ピアニストのF.R.パネ、谷川賢作らとジャンルを越えた音楽活動も行なった。