クラリネット記事 第7回 スタッカートのいろは その4 〜もう一段上を目指して〜
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中高生のための「クラリネット演奏法」

第7回 スタッカートのいろは その4 〜もう一段上を目指して〜

エチュードもやってみよう

譜例はV.ブランク(V.Blancou)の「40のエチュード」の第1番の部分です。原曲ではアクセントやsf(スフォルツァンド)などが付いていますが、ふつうにタンギングをしましょう。これもほとんど音階なので第6回に掲載した譜例③と同じようにいろいろな長さで練習してください。

譜例

ダブルタンギング、トリプルタンギング

クラリネットのダブルタンギングは、フルートなどに比べるとあまり一般的ではないけれど、音楽によっては、速いタンギングのパッセージがしばしば出てきます。音域によっては特に高い音はたいへん難しいけれど、ダブルタンギングを使ったほうが良い場合があります。
この奏法は人によっていろいろやり方がありますが、「t-k、t-k」とか「d-g、d-g」と子音でタンギングをします。これでやるとのどが広がらないので「ta-ka、ta-ka」や「da-ga、da-ga」などと発音するつもりでタンギングをします。トリプルタンギングは「t-k-t、t-k-t」あるいは「d-g-d、d-g-d」というふうになります。テンポの速い“音符×3”のときは役に立ちます。
しかし、これはシングルタンギングがしっかりできるようになってからでないと、やってはいけません。クラリネットのダブルタンギングはフルートやピッコロのように音が明瞭になりません。まず、シングルタンギングをマスターしてください。シングルタンギングは練習すればかなり速くできるようになります。

音楽的なフレーズはほとんどタンギングによって始まるということが分かりましたか? そういえば、大切なことを言い忘れました。それではフレーズを終わるときはどうするんだろう? タンギングによって始まった音を終わるとき、タンギングの原則では、舌を戻すことになっています。が、フレーズの終わりは特別な場合を除いては、ふつう舌をつけないので、自然にディミヌエンドするか、息を全部出してしまいます。この“フレーズの終わり”も大変重要です
次回からはアーティキュレーションのいろいろ、ダイナミックス、音楽のニュアンスについて一緒に勉強しましょう。

 

登場するアーティスト
画像

野崎剛史
Takeshi Nozaki

東京芸術大学卒業後、渡仏。パリ市立音楽院にてクラリネットを学ぶ。フランス国立管弦楽団の首席クラリネット奏者ギイ・ダンガン氏に師事。帰国後、東京佼成ウインドオーケストラで演奏活動を続けた。またジャズサックス奏者の坂田明、クラリネット奏者の鈴木良昭、ピアニストのF.R.パネ、谷川賢作らとジャンルを越えた音楽活動も行なった。


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