クラリネット記事 縦の線の合わせ方 Part.1「思いやり」「一工夫」
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アンサンブルの作り方

縦の線の合わせ方 Part.1「思いやり」「一工夫」

シエナ・クラッツによる「アンサンブルの作り方」が今回より始まります!
クラリネットは同族楽器が多いからアンサンブルにもうってつけの楽器。ところが曲選びから始まり練習法まで悩みどころ満載なのがアンサンブル。そこで、シエナ・クラッツのみなさんにそのコツを伝授してもらいましょう。
第1回目のテーマは「縦の線の合わせ方」。指揮者のいないアンサンブルでは、人数が増えれば増えるほど、縦の線を合わせるのは至難の業。そこで、今回は考え方や練習の仕方を伝授してもらいましょう!

京谷麻里子が伝授!

気を配る、思いやること

指揮者のいないアンサンブルでどう合わせるかですが、アプローチとして二つ書きます。
第一にまず、「練習でカバーする!」………単純すぎてごめんなさい。ではその練習での目標を具体的にあげます。

1️⃣個人的にテンポ正しく演奏し、演奏しながら周囲を聴くだけの余裕を持つこと。譜面にかじりついていたら、周りは聴けないのでNG。
2️⃣声の合図(せーの!)でも、メトロノームと一緒でも構わないので、まず合奏する。曲の流れや勢いを先に作って決めます。合図は後回し。その際、自分のパートだけでなく、周囲との関係に気を配る。人のパートを、仕組みを覚えるつもりで。人のミスを指摘できるくらい嫌な存在になるまで。スコアを全員で見ながら合わせるのも良い方法です。

ここまでできていたら、合図なんて簡単なはずで、例えば本番でミスしても、大した失敗にはならないはずです。
おまけとしてちょっと書きます。難しく考える人がとても多いようですが、以上の練習ができれば頭の音に必要なブレスの種類がわかってきます。合図はブレスの動作をちょっと大げさにする作業だと思ってください。特別な難しいアクションではないのです。コツを掴めば小学生でもできます。じゃんけんができない人はいませんよね? もし合わなかったら、それは曲のテンポがイメージできていないとか、不自然なブレスをしようとしているからではないでしょうか。また、普段から周囲に気を配る、思いやることを心がけてください。アンサンブルは……愛です。

木内倫子が伝授!

いつもの練習にひと工夫

みなさんこんにちは! E♭クラリネットの木内倫子です。

アンサンブルでの「縦の合わせ方」ということですが、指揮者のいないアンサンブルで出だしをそろえるというのはとても難しいですよね。
弦楽器では弓の動きである程度合わせることができると思いますが、管楽器ではどうしたらいいのでしょうか。
一番大切なのは、やはりブレスをそろえるということだと思います(もちろん、弦楽器のみなさんもブレスをされていますよ!)。まず、誰か1人リーダーシップをとる人を決めておきます。その人のブレスに合わせて、みんなで同じようにブレスを取れば、音の出るタイミングを合わせることができます。リーダーになった人は、他の人にわかるように少し体を動かすとか、目で見えるように少し大袈裟に息を吸うようにするといいと思います。他の人たちは、リーダーの気配をしっかり伺って、同じような速さ、深さでブレスができるようにしましょう。

そしてもう一つ大切なのは、反応の良いリードをつけておくことです。これはクラリネットにとっては当たり前ですが、せっかくブレスを合わせてタイミングをとっても、リードの反応が悪くて思ったところで音が出なかった、という経験は誰でもあると思います。
クラリネットは息によってリードが振動して音を出す楽器ですので、自分の思い通りのタイミングで振動してくれるリードをつけるということがとても重要です。

もちろん息を入れた瞬間にリードが振動を始めるわけではないので、このタイミングで音を出すためにはどれくらい前に息を入れ始めれば良いのかを、自分で把握しておくことも大切です。
いつものロングトーンにひと工夫して、聞こえないくらいのppから息を入れはじめ、だんだんcrescendoし ffdecrescendoppに戻り消えていくという練習をしてみてください。音が鳴り始めるタイミングがつかめると思います。


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