クラリネット記事 縦の線の合わせ方 Part.2「共通の時間の流れ」
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アンサンブルの作り方

縦の線の合わせ方 Part.2「共通の時間の流れ」

中村めぐみが伝授!

共通の時間の流れを共有すること

みなさんこんにちは、中村めぐみです。
指揮者がいないのなら、指揮者がしていることをみんなでやればいいんです。

準備

指揮者は、まずスコアを読んでどんな曲なのかを勉強されます。アンサンブルの場合、個人個人の譜読みがこれにあたります。自分が持つ音をさらうだけでなく、全音符など、長い音があったら、同時にどんな音形があるのかをスコアでチェックしたり、休みの間にどんなモチーフがあるのかなど、環境にも興味を持ちながら個人練習できるといいですね。
一人ひとりが指定してあるテンポで吹けることを目指して譜読み、練習をしてください。譜読みが遅い人がいたら、参考音源を聴いたり、先輩に自分のパートを一緒に吹いてもらったりするといいですね。合わせのときに周りの音に気を配れるくらい準備できていれば理想的です。

合わせ

さあ、合わせです。
指揮者が棒を振ること以外で、していることがあります。
それは、棒を振り出す前に

「さあ行くよ、この曲がどんなテンポでどんなハーモニーか想像できたかな? じゃ、始めるよ!」

と、心でみんなに問いかけて、全員の気を一つに集めることです。アンサンブルの場合、合図は通常メロディを持っている人、伴奏から始まる曲なら声部が一番上の人が出しますが、合図を出す前に全員に、「いくよ、準備はいいかな?」と、目と心で問いかけます。
このとき、合図を出す人だけがテンポを感じるのでなく、全員の中に予想があることが理想的です。みんなの中に流れているであろうテンポをピックアップするつもりで。ピックアップはアウフタクトと同じ意味です。曲の前に、2拍のアウフタクトがあると思ってください。例えば4拍子の曲なら、曲の前に、3、4、と2拍アウフタクトをつくり、合図を出す人は楽器と身体の関係がぶれないようにしながら、3拍目で下に、4拍目で上に動いて曲のテンポに合ったブレスをして、曲冒頭で下に、上下でなくてもいいんですが、みんなに3、4、冒頭の点がわかるように動きます。あらかじめみんながテンポを想像してくれていたら、合図の動きに合わせて全員が自然に曲に合ったブレスができるはず。どう動くかより、全員が自然にブレス出来ることのほうが大事です。
これが3拍子の曲なら2、3、速い3拍子の曲なら、いっとっとっという1小節、2拍子なら、1、2、など、曲によってアウフタクトの作り方は工夫が必要です。元々曲自体にアウフタクトが存在する曲は、それを全員が知った状態で、そのアウフタクトを全員が演奏しているつもりになって、奏者の時間の流れを取り込んで、集合してください。どう動いていいのかわからなかったら、指揮者の先生に棒を振ってもらって、合図を出す人がその指揮に合わせて動く練習をするのもいいかもしれません。
どうアウフタクトをつくったらいいかわからない時も、指揮ならどう振るのか、質問したり、実際自分で振ってみたりして、探ってください。
指揮者が棒を振り曲を吹き始める時、一人ひとりがそれぞれ、指揮の動きに視覚的に合わせて吹き始めていますか? よく練習してある曲なら、決してそうではないはずです。共通の時間の流れを感じてお互いを信頼しあって、想像している音を出していると思います。アンサンブルのときもそんな空気を想定しながら合わせができるといいですね。

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