縦の線の合わせ方 Part.3「話し合う」「曲の流れ」
佐々木理恵が伝授!
どんな音楽がしたいか話し合う
皆さんこんにちは! 佐々木理恵です。
私がアンサンブルのレッスンをする際にはまず「曲を吹き始めるときにブレスはどのようにしていますか?」という質問をします。
だいたいは考えたことがなかったという答えが返ってきます。ブレスは演奏する曲のテンポと同じ速さでします。指揮者がいるときどうやってブレスをしているか考えてみてください。
振り始める指揮の動きに合わせて息を吸っているな、と感じる人がほとんどだと思います。それがテンポでブレスをするということなのです。
では指揮者のいない場合はどのようにテンポが決まるのでしょうか。
アンサンブルの場合は合図を出す人を必ず決めますが(伴奏から始まるなどの例外を除き、主に曲の吹き始めやテンポの変わる時に旋律を担当する人が合図を出します)、その合図が指揮者の振り始めの役割になります。曲のテンポで合図を出すと自然とブレスもテンポで吸うことができます。その他のメンバーは合図に合わせて息を吸って音を出すとアインザッツがそろいます。
合図を出す人は始める前に必ずメンバーの様子を伺い、他のメンバーもOKだよ!と合図を出す人にアイコンタクトで知らせて、お互い演奏する準備が整ったのを確認しあってから演奏を始めます。上手くいかない場合は合図を出す人に合わせてみんなで一緒に動いてブレスをしてみましょう。
全員が自然にブレスをすることができてくるとアインザッツがそろってきますよ。
また吹き始めは合っても縦がずれてしまったり、だんだんテンポが定まらなくなってきたり……。そういう場合はフレーズの吹き方や表現の仕方が統一できていないのだと思います。
基本的には楽譜に指定がない限り同じテンポで演奏しますが、フレーズの終わりは少しテンポが緩んだり、前向きの音楽だったら本来のテンポよりスピード感があったりします。どんな音楽を表現したいか、たくさん話し合い吹いてみてくださいね。
アンサンブルはお互いをリスペクトすることが大切です。大なり小なり誰でも演奏のクセ(スタイルともいうかもしれませんが)があり、他人のクセは気になるものです。良い部分は際立たせ、時には上手くカバーし合いより良い音楽が表現できるようになっていけると良いですね。
山手寿子が伝授!
音を発する前から、曲の流れに乗る準備を
我々は日常生活で言葉を発して物事を表現しますが、それらを表現するときには、瞬時にその言葉の意味とそこにこめる思い(感情)を伴って呼吸をし言葉を発していますよね。でもこれは日常の会話中、特に大きな意識をもって発することはそう多くはないと思います。自然とその言葉の意や感情の深さによってスピードがあったり、穏やかだったり、その言葉に相応しい息を吸い込み言葉を発していると思います。
演奏する際も、この「呼吸」を同じような感覚で捉えられるとより自然な会話(演奏)となっていきます。
アンサンブルは一人ひとりが大事な指揮者であることは皆さんもよくわかっていらっしゃることと思います。出だしは曲に合ったテンポで呼吸を取り、それが指揮となりますが、この音を発する前の段階から、ほかのパートの人たちもテンポを捉えられるよう曲の流れに乗る準備が必要です。
曲の出だしから、同時に音がない場合や、出だしに限らず自分に音がない場合でも常にアンテナを張り、一緒に呼吸をしていなくてはなりません。
そのためには物理的、機械的に合わせていくのではなく、もちろん吹いているパートの動きも視野に入れると同時に、フレーズのどこにウェイトが置かれているか、その行き先はどうなっているかなど、それらをしっかりとつかんで自然な演奏の流れに乗れたら、縦のラインもそろってきますし、演奏自体が立体感を持ち始めます。また、曲間にはテンポで息を取るよりも、流れにそって早めに深く呼吸することによって、より丁寧な落ち着いた導入になります。アンサンブルは全員の呼吸を整えることによって音楽的に仕上げることが理想です。