ダイナミクスのメリハリ Part.2 音色で作るダイナミクス
今回、みなさんにどうしても教えてほしいことがあります。
私は今高校2年生で吹奏楽部に入っていて、アンサンブルにチャレンジしています。
先日、部内発表会で初めて七重奏(1年生と2年生混合チーム)を演奏しました。
が……演奏は散々でした。緊張のせいもあったと思いますが、特に先輩や先生に指摘されたのが、
「ダイナミックスの変化がない!」
ということでした。
pやfなど、つけているつもりでしたが、聴いている人には伝わらなかったそうです。
シエナ・クラッツの皆さんは、どんな個人練習をしていて、
アンサンブルではダイナミクスに変化をつけるためにどんな練習をしているのでしょうか?
注意点、アドバイスなど何でもかまいません!
E♭クラ、バスクラなど特殊管の注意もお願いします!
どうぞよろしくお願いします。
(埼玉県 県立高校2年生女子)
佐々木理恵より伝授!
こんにちは! 佐々木理恵です。
私がアンサンブルの指導をしていても初めに聴かせてもらった時に、常にmf、かろうじてfが出てくるかな?というくらいのダイナミクスで演奏していると感じる学校が多い気がします。
ダイナミクスは自分たちでは変化を付けているつもりでも意外と聴いている人に伝わらないですよね。こんなにやらなきゃいけないの!?と思うくらい大袈裟に変化をつけないと聴いている側には伝わらないのです。それには幅広い音量が出せるようにならなければなりません。ですから個人練習でロングトーンを色々な音量でやってみましょう。
音って大は小を兼ねないのです!
特に難しいのはpです。pでロングトーンをする時も音の輪郭がなくならないように自分の音をよく聴いて息をコントロールします。fは粗くなったり音が開いたりしないようにしましょう。また、クレッシェンドとディミヌエンドの練習もすると良いでしょう。
そしてダイナミクスの変化をより印象付けるには音色の変化も大切です。pはpの音色、fはfの音色というものがあります。
今までより大袈裟にと言っても、ただpはできるだけ小さく、fは出せるだけ大きくだけではあまり変化があるようには感じないし退屈な演奏になってしまいます。
曲想にもよりますが、例えばpは「小さい」ではなく「繊細で美しく」、fは「大きい」ではなく「力強く」、などとイメージして演奏するとより伝わります。
音量だけでなく音色のイメージもアンサンブルのメンバー全員が統一できると良いですね。
原山佐保子より伝授!
こんにちは! 原山です。
ダイナミクスは、実は音量に限らず変えることができます。ポイントは音色です。結構音量が出ていても、柔らかい音色ならpに聞こえるのです。
そのためには、強い音、柔らかい音、色んな音が出せること。アンブシュアを変えるのではなく、息が的確に柔軟に使えていることが大切です。絵を描く時に、筆の太さや固さでタッチが変わるように、息も量やスピードや圧力が変われば音色が変わります。
ちょっと変わった方法を一つ。個人練習の時、ただいつものようにスケールを吹くだけじゃなく、たまに「キタナイ音」を出して遊んでみてください(笑)。きれいな音を出すための練習は大事ですが、キタナイ音が出るときの息や、こんな息を使ったらこんな音が出るんだなと遊んでみると、息の使い方や圧力のかけ方がわかります。その時に大事なことは、頭でイメージした通りの音が出るか?ということです。出なかったら色々と工夫します。アンブシュアがきつすぎる? 息はどんなふうに吹いている? そのときはきれいな音にかかわらず、fもpもなるべく大袈裟に色んな音を実験してみてください。
アンサンブルの中では、自分の役割を知ること、メロディに対して他の音がどうアプローチしているかで、全体のサウンドが変わります。メロディよりも早く音が出たり、バランスや音程が悪いと、メロディがきれいに浮き上がらず力んでしまい、結果的に印象は変わりにくいです。
音量だけでなく柔軟性を身に付けて、クラリネットを楽しく吹いてください♪