クラリネット記事 ダイナミクスのメリハリ Part.3 多角的に見るメリハリ
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アンサンブルの作り方

ダイナミクスのメリハリ Part.3 多角的に見るメリハリ

質問シエナ・クラッツのみなさん、こんにちは! このコーナーは勉強になります。
今回、みなさんにどうしても教えてほしいことがあります。
私は今高校2年生で吹奏楽部に入っていて、アンサンブルにチャレンジしています。
先日、部内発表会で初めて七重奏(1年生と2年生混合チーム)を演奏しました。
が……演奏は散々でした。緊張のせいもあったと思いますが、特に先輩や先生に指摘されたのが、
「ダイナミクスの変化がない!」
ということでした。

pfなど、つけているつもりでしたが、聴いている人には伝わらなかったそうです。
シエナ・クラッツの皆さんは、どんな個人練習をしていて、
アンサンブルではダイナミクスに変化をつけるためにどんな練習をしているのでしょうか?
注意点、アドバイスなど何でもかまいません!
E♭クラ、バスクラなど特殊管の注意もお願いします!
どうぞよろしくお願いします。
(埼玉県 県立高校2年生女子)

近藤薫より伝授!

こんにちは、近藤です(^o^)
クラリネットアンサンブル、楽しいですよね。
ダイナミクスの差が出ないとのお悩み……単純に、やってるつもりでも足りなかった部分は大きいかもしれませんね。録音をとってメンバーで聴いたりしました? 録音機材の性能により生演奏そのままを再現できていない場合もありますが、参考にはなると思いますよ。
そして音程はいかがでしたか? 音程が合っていないとハーモニーが濁り、音や音楽がお客様にスパーンと届かないことに繋がります。
また各役割のバランスはどうだったでしょうか
メロディと伴奏のバランスは言うまでもありませんが、ひとつのハーモニー内のバランスが上手くとれていないと響きが良くなく、平坦でつまらない音楽になり、変化がないという印象になってしまいます。
強弱だけにとらわれず、今挙げた点も見直して立体的な音楽を目指してくださいね!

飯島泉より伝授!

こんにちは、飯島 泉です。
アンサンブル頑張っていますね、編成の大きなクラリネット七重奏に挑戦したのですね!
音量のみで幅を持たせるのはもちろん大切なことですが、同族楽器のダイナミクスの変化については、音量のみで表現するには限界があるでしょう。
音量だけではなく、多彩な音色や表現が最も大切になってきます。
例えば、fと示されている場所で、アタックの強い大きなfなのか、あたたかく大きなfなのか、ただ大きくと言ってもどのようなfなのか、意味合いは随分異なります。
同じように、pのニュアンスも、どのように小さいのか、柔らかなpなのか、小さくても意思のあるpだってあるはずです。
このように、ダイナミクスを表現する上で、どのようなf、どのようなp、と考え表現することができれば、自然にダイナミクスの変化が見えてくるはずです。
一緒にアンサンブルするメンバーと一緒に、場面ごとに音色の考え方を統一してみましょう。
メロディを受け持つ人、ハーモニーを受け持つ人、リズムを受け持つ人、楽譜上にいくら同じ音量を指定していても、各自同じ音量で演奏してはバランスの悪いアンサンブルになってしまいます。
お互いの音をよく聴き合い、心地良いバランスのダイナミクスを探すことが大切です。

山手寿子より伝授!

ダイナミクスをどのように捉えていますか? pは小さくfは大きくなどでしょうか。もちろん実践的に表示通り表現することも基本的に大事なことですが、ここではそれらをもっと別の角度から捉えてみましょう。
音楽には「流れ=物語」があります。その流れに沿った解釈ができているかどうかということが大切な要素のひとつです。例えば、長調か短調か? フレーズはどこに向かっているのか、どこが山なのか、どのようなシーンであるのか?
例えばfの表示で明るい調で大々的に喜びを表しているようなシーン、同じ喜びでも内に秘めた喜び、今にも嬉しさが爆発しそうな様子のpp。このようなシーンをあなたが言葉で表現するとしたらどのような息づかいになりますか? あるいは、短調で悲しみと怒りが込み上げるような重々しい様子を力強いffで表現したり、同じ悲しみでも、涙枯れ果て魂が抜けてしまったようなpではどうでしょう?
長調短調、ffpp、それぞれの表現では息のスピード、それを発する前の呼吸、シーンにあったイントネーションが全部違いませんでしたか?
それでいいのです! 言葉を発するのにその状況をイメージし、それぞれにあった息づかいになっていたはずです。
つまりfpも息のスピード変化がなく、全部同じ表情になる=音量の変化が分かりづらいということは一つの原因なのです。これは遭遇することが多く、メリハリのない演奏となってしまっています。
しかし、表示を深く解釈することによってフレーズも見え、それらを受け身ではなくしっかり自分の中で消化し、改めて自らの言葉としてお喋り=ふさわしい呼吸で演奏することが、解決への一つの手助けとなり、演奏に立体感、活きた映像が見えてくることを挙げておきましょう。


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