クラリネット記事 クラリネット往古来今 83sによる座談会 ─前編─
  クラリネット記事 クラリネット往古来今 83sによる座談会 ─前編─
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演奏家編│その1(前編)

クラリネット往古来今 83sによる座談会 ─前編─

本誌でもおなじみのソリスト赤坂達三さんをナビゲーターに迎え、国立音楽大学時代の同級生による座談会を行ないました。紅一点の京谷麻里子さんはシエナ・ウインド・オーケストラのバスクラリネット奏者、そして東京吹奏楽団の日向秀司さん、NHK交響楽団(インスペクター)の山根孝司さんという、錚々たる顔ぶれ。第一線で活躍しているこの4人は83sというユニットを組み演奏活動も展開中。気心の知れた仲間同士だからこそ話せるクラリネットの現在、過去、未来とは……。
取材協力:MARK Ⅵ Mejiro

テーマ1 国立音楽大学・留学時代

新幹線の中でさらう

赤坂
今回お集まりいただいたのは、私の国立音楽大学時代の同級生です。さっそくですが、最初のテーマである国立音楽大学・留学時代について話したいと思います。この4人は同時期に国立音楽大学に入学しました。それぞれの第一印象についてお聞かせいただければと思います。
京谷
当時クラリネットの同級生が12人いて、ちょうど男子が6人、女子が6人でした。取り立ててこのメンバーの入学時の印象はそんなになくて。そのあと試験をしたり、いろいろ演奏を聴いたりするうちに、上手くてすごく驚きました。本当にいろんな地域から来ているので、バラエティに富んだ12人でした。この個性が強い人たちのなかで、自分はやっていけるのかなと思いました。特に知識に関して私は吹奏楽しか知らなかったので、この3人と話をするとついていけなかったですね。黙って聞いていました(笑)。
赤坂
山根くんは、何か印象の残っていることはありますか。
山根
入学したときはみんな上手だなと思いました。私は田舎から出てきたので、都会の人はやっぱりすごいなと。
赤坂
でも、山根くんは優等生でしたよ。しかも面倒見がよくて僕も漢字を教えてもらったりして大変お世話になりました(笑)。山根くん、京谷さんがおっしゃているように、僕もみんなすごく上手だなと思いました、もうカルチャーショック。入試の倍率も高かったんですよね。
京谷
3倍ですね。36人受けて、12人。
赤坂
落ちた人もけっこういるよね。
京谷
現役は半分しかいませんでした。
山根
日向くんは一番話題の人ではあったね。一人だけ付属高校から来ていたし、なぜか付属からくるとからかわれる(笑)。それに飲み会でやたら飲まされていました。
日向
山根はね、高校のときにレッスンを受けていた大橋幸夫先生の家で何度も会っていて、大橋先生に「君は金の卵だよ」なんか言われてた。だから、山根のことは知ってましたけど、上手いなというのが第一印象。たっちゃん(赤坂)だけが変わり種に見えたよね。
赤坂
国立音大の小笠原長孝クラスが一風変わっていました。
日向
たっちゃんは紅顔の美少年。麻里ちゃん(京谷)は今もそうですけど、ほんとかわいくてね。断トツでモテていました。
京谷
そうなの!? 当時はそんなこと知らなかったな(笑)。
日向
山根は山口から来るときの新幹線の中でさらってたとか。
山根
最終の新幹線は誰も乗ってないから。
日向
これは読者に伝えたいね。そこまで練習しているんだってね。

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テーマ1 国立音楽大学・留学時代(続き)
テーマ2 演奏について
テーマ3 クラリネット界について

 

赤坂達三 Tatsuzo Akasaka
国立音楽大学で学んだ後、パリ国立高等音楽院のクラリネット及び室内楽を1位で卒業。パリ・ポールデュカ音楽院、ヴェルサイユ国立音楽院でもそれぞれ1位で卒業。トゥーロン国際音楽コンクール3位、日本木管コンクール第1位。日本クラリネットコンクール1位無し2位、パリ国際コンクール第1位など輝かしい受賞歴を持つ。国際クラリネット協会のパメラ・ウェストン女史から“40年来の偉才”と絶讃され、その最高の技術と深い音楽性は高い評価を得ている。国内外の主要オーケストラとの共演は数え切れない。ソロアルバムを多数リリース。実力とスター性を併せ持つ真のアーティストとしてクラリネット・ソリストの第一人者。2012~2020年までエリザベト音楽大学の教授を務めた。

京谷麻里子 Mariko Kyotani
中学よりクラリネットを始める。国立音楽大学卒業。その後青年海外協力隊に参加、3年間中米ホンデュラスにて吹奏楽、クラリネットを指導。日本からの楽器無償援助がありオーケストラのない同国にオーケストラを結成するという事業をサポート。帰国後、シエナ・ウインド・オーケストラに入団。現在吹奏楽の指導、コンクールの審査など全国で活動している。埼玉県草加市出身、横浜市在住。

日向秀司 Shuji Hyuga
国立音楽大学付属音楽高等学校を経て国立音楽大学卒業。その後渡仏し、フランス国立ランシー音楽院、パリ市音楽院を満場一致の一等及び審査員特別賞を得て終了。帰国後はソロ、オーケストラ、ミュージカル等およそクラリネットが必要なあらゆるシーンで活動、現在に至る。第2回日本クラリネットコンクール第3位入賞、第6回日本管打楽器コンクール入選。大橋幸夫、浜中浩一、フィリップ・キュペール、ギィ・ドゥプリュの各氏に師事。神奈川県立弥栄高等学校非常勤講師。

山根孝司 Takashi Yamane
国立音楽大学、ベルギー王立フランダース音楽院、リエージュ音楽院でクラリネット、室内楽を学ぶ。ベルギーやフランスの現代音楽アンサンブルで活動した後に帰国。現在はNHK交響楽団楽員、昭和音楽大学非常勤講師。また、オーケストラ・リベラ・クラシカなどのオーケストラでピリオド楽器の演奏にも携わる。

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