クラリネット記事 クラリネット往古来今 83sによる座談会 ─後編─
  クラリネット記事 クラリネット往古来今 83sによる座談会 ─後編─
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演奏家編│その1(後編)

クラリネット往古来今 83sによる座談会 ─後編─

 

世界的ソリストである赤坂達三さんをナビゲーター役に、彼の国立音楽大学時代の同級生であるNHK交響楽団の山根孝司さん、シエナ・ウインド・オーケストラの京谷麻里子さん、東京吹奏楽団の日向秀司さんたちを招いて開催された座談会「クラリネット往古来今」がThe Clarinet vol.77に掲載されました。
気心の知れた皆さんによる座談会は和気あいあいと進み、その中で様々なお話をしてくださいました。
ここでは、誌面に掲載されなかったお話を掲載! Clarinet ONLINEだけの特別版となっております。
取材協力:MARK Ⅵ Mejiro

好きな女の子が……

赤坂
皆さまこんにちは。クラリネットの赤坂達三です。
私の国立音楽大学時代の同級生4名によるグループ「83s」のメンバーで座談会をお届けしたいと思います。
まずは、皆さんがクラリネットを始めたきっかけをお訊きしましょうか。
順番は……じゃあ、日向くんから。
日向
あまり立派なことじゃなくて申し訳ないんですけど……。小学生のときに好きだった女の子が「あたし中学校に行ったらブラスバンド部に入ってクラリネットをやるんだ!」って言ってたので、じゃあ先回りしていいとこ見せちゃおうかなって。
まぁそんなかわいい感じで、でもその後のめり込んじゃったんですよね。
赤坂
きっかけだからね。なんでもアリですよ(笑)。
京谷
私は、中学の入学式で見た先輩がカッコよくて。
山根
やっぱりそれか(笑)。
赤坂
みんなそっち系だ(笑)。
京谷
女性の先輩なんですけどね(笑)。
髪の毛がスラーっと長くて、セーラー服を着てクラリネットを持って颯爽と袖からステージに歩いていったのがもうすごくカッコよかった。黒い管体に銀色のキィがキラキラしているのがとても印象的で、もう自分はあの楽器をやろうと思ったのが最初です。
赤坂
音を聴いたりとかはしてないの?
京谷
音は聴いてない! 見た目から入りました。
赤坂
見た目から!? そこは面白いですねぇ。
では、山根くんはどうですか?
山根
同じような感じで、別に好きな女の子がいたわけじゃないんですけど(笑)。
親友の“男”の子が、吹奏楽部に入るから一緒に入らないかと誘われて。それで部室に行ってなんの楽器をやりたいか訊かれたときに「トロンボーンがやりたいです」と言ったら「トロンボーンはもう3人も新入生が入ったから」と言われたんです。
どうしようかって悩んでいたら、誘ってくれた友だちが「僕は大好きなクラリネットをやるから一緒にやらないか」って言ってくれて。半年くらいはあっち(トロンボーン)のほうがいいなと心が揺れたまま続けていたんですが、そのうち深みにハマり現在に至るという感じですね。
赤坂
僕の場合は、クラシック音楽をレコードで聴いていて好きだったし、クラリネットの音が好きだった。
それで、以前品川駅の近くに住んでいたので自転車でヤマハの銀座店に行って一番安いヤマハのクラリネットを買って、一応はなんとなく吹けるようになったから吹奏楽部の門を叩いたら「クラリネットをやりたい」という人があまりいなかった。トランペットとかサクソフォンとか派手な楽器が人気だった。
僕はクラリネットを持っていて、多少は吹けるのですごくありがたがられたんです。

次のページへ続く
・“好き”が繋がって今に至る
・日本と海外の違い

 

赤坂達三 Tatsuzo Akasaka
国立音楽大学で学んだ後、パリ国立高等音楽院のクラリネット及び室内楽を1位で卒業。パリ・ポールデュカ音楽院、ヴェルサイユ国立音楽院でもそれぞれ1位で卒業。トゥーロン国際音楽コンクール3位、日本木管コンクール第1位。日本クラリネットコンクール1位無し2位、パリ国際コンクール第1位など輝かしい受賞歴を持つ。国際クラリネット協会のパメラ・ウェストン女史から“40年来の偉才”と絶讃され、その最高の技術と深い音楽性は高い評価を得ている。国内外の主要オーケストラとの共演は数え切れない。ソロアルバムを多数リリース。実力とスター性を併せ持つ真のアーティストとしてクラリネット・ソリストの第一人者。2012~2020年までエリザベト音楽大学の教授を務めた。

京谷麻里子 Mariko Kyotani
中学よりクラリネットを始める。国立音楽大学卒業。その後青年海外協力隊に参加、3年間中米ホンデュラスにて吹奏楽、クラリネットを指導。日本からの楽器無償援助がありオーケストラのない同国にオーケストラを結成するという事業をサポート。帰国後、シエナ・ウインド・オーケストラに入団。現在吹奏楽の指導、コンクールの審査など全国で活動している。埼玉県草加市出身、横浜市在住。

日向秀司 Shuji Hyuga
国立音楽大学付属音楽高等学校を経て国立音楽大学卒業。その後渡仏し、フランス国立ランシー音楽院、パリ市音楽院を満場一致の一等及び審査員特別賞を得て終了。帰国後はソロ、オーケストラ、ミュージカル等およそクラリネットが必要なあらゆるシーンで活動、現在に至る。第2回日本クラリネットコンクール第3位入賞、第6回日本管打楽器コンクール入選。大橋幸夫、浜中浩一、フィリップ・キュペール、ギィ・ドゥプリュの各氏に師事。神奈川県立弥栄高等学校非常勤講師。

山根孝司 Takashi Yamane
国立音楽大学、ベルギー王立フランダース音楽院、リエージュ音楽院でクラリネット、室内楽を学ぶ。ベルギーやフランスの現代音楽アンサンブルで活動した後に帰国。現在はNHK交響楽団楽員、昭和音楽大学非常勤講師。また、オーケストラ・リベラ・クラシカなどのオーケストラでピリオド楽器の演奏にも携わる。

 
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