第19回「そこに気づくとは……やはり天才か」
各地で講習会の機会に恵まれた。喜んでくれた人、理解してもらえなかった人、迷惑がっていた人、待ち望んでいた人、ポカンとしていた人、緊張していた人……と、たくさんの顔が思い浮かぶ。すてきな人や美しい音色との出会いは疲れを忘れさせてくれるが、苦労の末にきれいなアンブシュアを伝えられた瞬間が、何よりうれしい。
加藤明久
Akihisa Kato
クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。 1983年、国立音楽大学卒業。その年より制定された矢田部賞を受賞。 第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。 第16回民音室内楽コンクール第1位入賞。 1984年、第1回日本クラリネット・コンクール入賞。 1985年、第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。 1988年、欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネット・コンクール入賞。 1990年、NHK交響楽団に入団。 2019年、NHK交響楽団を退団。 2019年より昭和音楽大学教授、武蔵野音楽大学非常勤講師。
クラリネットを吹いているとき、自分に聞こえる音(骨振動を含む音)と、お客さんに聞こえている音との違いはどんなものでしょうか。また、楽器を吹いているとき、正しい舌の位置はどこでしょうか。先生はどの位置に置かれていますか?(会社員・大阪府)
録音された自分の声を聞くことほど恥ずかしいものはない、と思うのは私だけだろうか。クラリネットの音色も、当然同じだけ違っているのだろう。ただ、私には医学的な専門知識がまったくないので、音の違いはどんなものかと問われても返答に窮してしまう。録音技術が進歩している現在、自分の音色を客観的に聴いてみて判断するしかないのでは。しかしながら貴殿の着眼点は非常に鋭い。「自分に聞こえる音」しか考えないのがアマチュアで、「お客さんに聞こえている音」を考えるのがプロなのである。……[続きはこちらから!!]
メーカーによって音色はどれくらい違うのでしょうか。大きな違いがあるなら教えてください。(18歳高校生・千葉県)
リードはメーカーによってどんな特長があるのか、解説してくださるとうれしいです。(12歳小学生・茨城県)
前者は高校生、後者はなんと小学生からの質問である。誠意をもって答えたいが、楽器店に陳列されているすべてのクラリネットやリードを吹いたことがないので、責任ある発言ができない。