クラリネット記事 第22回「どうすればよいのだタンギング」
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加藤明久のクラリネット何でもQ&A

第22回「どうすればよいのだタンギング」

子どものころ、夏になると扇風機に手を出して、親によく叱られた。声を出したりスウィッチをいじくるだけでは飽きたらず、荒い網目の隙間から箸や鉛筆を突っ込んでは、羽を止めたりして遊んでいた記憶がある。さて、今回からの3回にはアマチュアの苦手なタンギングの質問が集まっている。タンギング、というと舌の動きばかりに気を取られがちだが、それは大きな誤解である。まわろうとする扇風機の羽根がリードで、その動きをさえぎる鉛筆が舌の役割。しかしこれだけでは何かが足りない。そう、もっとも大事なのは動力である電源で、楽器なら息がこれにあたる。しっかりとした息圧なくして、美しいタンギングは生まれないのだ。


加藤明久

Akihisa Kato

クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。 1983年、国立音楽大学卒業。その年より制定された矢田部賞を受賞。 第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。 第16回民音室内楽コンクール第1位入賞。 1984年、第1回日本クラリネット・コンクール入賞。 1985年、第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。 1988年、欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネット・コンクール入賞。 1990年、NHK交響楽団に入団。 2019年、NHK交響楽団を退団。 2019年より昭和音楽大学教授、武蔵野音楽大学非常勤講師。

クラリネットを吹き始めて7年くらいになるのですが、いまだに16分音符のタンギングが続けてできず、モーツァルトの協奏曲のときなど、16分音符が何小節も続いて出てくると困ってしまいます。練習の仕方を教えてください。

著名なクラリネット奏者にも鉛のような舌の持ち主がいるし、機関銃のように恐ろしく速く音を並べる中学生がいたりもする。舌のスピードには個人差があり、その差を埋めるのは難しいのかもしれないが、練習を重ねて舌の動きを鍛えれば人並みのスピードは必ずや身につくであろう。一般的なマーチや、昨今のモーツァルトのスタンダードなテンポが120であるから、この数字で16分音符を刻むことを目標にしたい。自由曲が『売られた花嫁』だとか、試験曲がニールセンだ……などという場合は別の話だが。……[続きはこちらから!!]

小さい音でタンギングすると、音がベチャッといってしまいます。どんなときでもきれいに音がでるようにするには、どんな練習をすればよいですか。

タンギングをすると、私の場合唾液がリードとマウスピースの間について、音が変になります。原因と対策があるならば教えてください。

似たような質問なので、いっぺんに答えたい。
何度も言うが、良いリードがついていなければ美しい発音は望むべくもない。
「良い」というのは質、そして状態を指す。厚さや硬さは人それぞれだからいいとしても、そもそも発音という作業はリードの反発力を利用するわけだから、古く汚れたリードでは話にならない。反発力の弱ったリードを使用し続け、アンブシュアを崩している奏者をよく見かける。この話題は長くなるので他の質問のときに譲るとして、ここではリードのよい状態について考えたい。……[続きはこちらから!!]

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