第25回「少年たちへ。」
歯の矯正をしようとしている後輩がいます。楽器屋の人に訊いたところ、「矯正している間はクラリネットを吹かないほうがいい」と言われたそうです。本当でしょうか?(18歳高校生・千葉県)
歯の矯正は楽器のためなのだろうか、それとも単なる整形なのか。いずれにしても楽器屋さんや私ではなく、歯医者さんに相談するのが手っ取り早いとも思うのだが。もしその後輩がクラリネットを専門に勉強していきたいという意志があるのなら、今のうちに矯正しておいたほうがいい。というのも、私自身が歯並びの悪さで随分悩まされてきたからである。……[続きはこちらから!!]
クラリネットは、新品と中古、どちらが音色がいいのですか?(12歳小学生・広島県)
極めてシンプルで、奥の深い質問である。小学生の澄んだ心はあなどれない。
新品にはなんとも言えない心地よい抵抗感があり、無垢な音色を感じ取ることができる。誰かによって使い込まれた楽器というのは音ひとつひとつにツボがあり、伸びがあり、カドのとれたまろやかな音色が感じられる。どちらの音色がいいのかという判断はできないが、単に吹きやすさを求めるのなら中古であろう。誰の色にも染まっていない新品には、自分自身で音色を作っていくという作業(これも演奏者にとっては愉しみのひとつ)が必要だが、慣らし運転が済んでいる中古品にはすでに音色が確立されている可能性が高い。……[続きはこちらから!!]
加藤明久
Akihisa Kato
クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。 1983年、国立音楽大学卒業。その年より制定された矢田部賞を受賞。 第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。 第16回民音室内楽コンクール第1位入賞。 1984年、第1回日本クラリネット・コンクール入賞。 1985年、第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。 1988年、欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネット・コンクール入賞。 1990年、NHK交響楽団に入団。 2019年、NHK交響楽団を退団。 2019年より昭和音楽大学教授、武蔵野音楽大学非常勤講師。