第30回「吹奏楽クラリネットの功罪」
「吹奏楽の吹き方、オーケストラの吹き方」などという言い方をする人がいますが、先生はどのようにお考えですか?
(広島県・音楽講師・43歳)
どんな立場に置かれても吹き方にそう変化があるとは思えないが、吹奏楽とオーケストラではクラリネット・セクションが担う役割、責任、影響力、すべてが異なるのは確か。吹奏楽では最大派閥となり、ピッチやテンポ、バランス等々……曲作りの中心となる、いわばオーケストラにおけるヴァイオリンの役割を担わなければならない。3つのパートに分かれ、同じ譜面を複数の奏者で担当するわけだから、音色や音程が風変わりでは問題がある。「減私奉公」が吹奏楽におけるクラリネット奏者の掟であり、よく溶け合う音に正確な音程が理想的。譜面は常に真っ黒なほどの音符で埋め尽くされるから、無理していい音色を出すセッティングよりも、楽に吹き続けることができる仕掛けになりがち。実は、ここに吹奏楽でのクラリネット奏者が陥りやすい落とし穴がある。……[続きはこちらから!!]
加藤明久
Akihisa Kato
クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。 1983年、国立音楽大学卒業。その年より制定された矢田部賞を受賞。 第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。 第16回民音室内楽コンクール第1位入賞。 1984年、第1回日本クラリネット・コンクール入賞。 1985年、第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。 1988年、欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネット・コンクール入賞。 1990年、NHK交響楽団に入団。 2019年、NHK交響楽団を退団。 2019年より昭和音楽大学教授、武蔵野音楽大学非常勤講師。