クラリネット記事 演奏で一番大事なのは音色、次にフレーズ感 「技術の素晴らしさ」その先に……
  クラリネット記事 演奏で一番大事なのは音色、次にフレーズ感 「技術の素晴らしさ」その先に……
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The Clarinet vol.69 Cover Story ルーランド・ヘンドリックス

演奏で一番大事なのは音色、次にフレーズ感 「技術の素晴らしさ」その先に……

ベルギーのオーケストラで2017年までの約20年間にわたり首席奏者を務め、マーストリヒト音楽院(オランダ)とルーヴァンLUCA芸術高等学校(ベルギー)にて後進の指導を行なっているルーランド・ヘンドリックス氏が本誌初登場。昨年10月には、マルティン・ブラビンスの指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とともに、モーツァルト、フィンジ、ブルッフのクラリネット協奏曲を録音したCDをリリースするなど、国内外を問わず幅広く活躍されている同氏のクラリネット人生に迫った。オンラインではその一部をご紹介。
(取材協力:野中貿易株式会社、撮影:いしかわみちこ、通訳:高橋康子(デュオ・アギネコ)

 

父がアマチュア吹奏楽団のサクソフォン奏者

ルーランド・ヘンドリックス
ルーランド・ヘンドリックス

─ヘンドリックスさんは本誌初登場になりますね。はじめに、音楽との出会い、クラリネットとの出会いを教えてください。

ヘンドリックス(以下H):私の父はアマチュアの吹奏楽団でサクソフォンを演奏していたので、音楽を始めたのは父の影響が大きいと思います。正確な人数などはわかりませんが、アメリカなどと同じようにベルギーでもアマチュアの吹奏楽団が多く、盛んです。

私は8歳のときに街の音楽教室に入り、最初の2年ほどは理論的なこと、楽譜の読み方などを勉強して、10歳か11歳のときにクラリネットを吹き始めました。私としてはフルートでもサクソフォンでもどんな楽器でもよかったのですが、父の楽団ではクラリネット奏者が圧倒的に不足していたのでクラリネットを吹くことにしました。

─6年間在籍されていたモネ王立歌劇場管弦楽団、そして14年間首席奏者を務めたベルギー国立管弦楽団のそれぞれの活動について教えてください。

Hモネ王立歌劇場管弦楽団は、オペラのオーケストラですのでベルギー国立管弦楽団と違って一つひとつのプロダクションのスパンが長いのです。一つのオペラを5〜6週間かけます。そのため、リハーサルなどもゆっくりじっくり行なえることが特徴です。一方、ベルギー国立管弦楽団は1週間ごとに違うプロダクションになったりするので、非常に忙しいです。
演奏する場所もオペラはブリュッセルにある歌劇場の王立モネ劇場と決まっていますが、ベルギー国立管弦楽団はブリュッセルにあるBOZAR(ボザール)という有名なホールを拠点としています。しかし、BOZARがベルギー国立管弦楽団に属しているわけではありませんので、3回に1回の割合で演奏していました。このBOZARは、エリザベート王妃国際音楽コンクールの本選の会場としても有名で、ベルギー国立管弦楽団が同コンクールの本選で伴奏を担当することもありました。
それぞれのレパートリーに関しては、もちろんモネ王立歌劇場管弦楽団はオペラ全般ですが、1つに絞らずいろいろな曲に挑戦しました。新曲も数多く演奏しています。
一方、ベルギー国立管弦楽団は歴史的な背景もあり、ドイツ系よりもフランス系のものを多く演奏していました。

 

セルマーの深く温かい音に感銘を受ける

─使用している楽器と、マウスピース、リガチャー、リードを教えてください。

H楽器はセルマーのプリヴィレッジとレシタル。オーケストラではプリヴィレッジのほうが、よりフォーカスされた音が出せるので使いやすくオールラウンドな楽器だと言えます。レシタルの好きな点は、温かい室内楽的な音がするところです。レシタルのA管がとても素晴らしく、モーツァルトのコンチェルトではこの楽器を使いたいと思っていました。
マウスピースはバンドーレンのB40ですが、時々新しいものも試しています。最近では、昨年アメリカ製のマウスピースを私が教えている学校でマスタークラスを行なったときに使いました。手作りのマウスピースです。
リガチャーはロブナー。室内楽をするときはプラスチック製や革製のものを使ったりしますが、大きな音が欲しいというときにはウッドストーンのピンクゴールドを使います。
リードは、バンドーレンのV12で3½または4。ダダリオのレゼルヴ・クラシック 3.5も時々使っています。

─お忙しい毎日だとは思いますが、オフの日はどのようにお過ごしですか?


愛犬のジェームス

愛犬のジェームス

Hオフの日があまりないので、オフの日になるとどうしていいのかわからなくて戸惑います(笑)。趣味もない感じですし、今はクラリネットの仕事に時間を取られています。ただし、家で飼っている犬と散歩に行ったりします。名前はジェームスです。これがオフの日の過ごし方かもしれません。

 

続きはThe Clarinet vol.69をご覧ください。

 

ルーランド・ヘンドリックス Roeland Hendrikx
ベルギー国立管弦楽団とモネ王立歌劇場管弦楽団において2017年までの約20年間にわたり首席奏者を務め、マーストリヒト音楽院(オランダ)とルーヴァンLUCA芸術高等学校(ベルギー)で後進の指導を行なっている。室内楽活動も活発に行なっており、彼を中心としたグループ「ルーランド・ヘンドリックス・アンサンブル」を2015年に立ち上げた。
2018年4月にはロンドンの有名なヘンリー・ウッド・ホールにおいて、マルティン・ブラビンスの指揮するロンドン・フィルハーモニー管弦楽団とモーツァルト、フィンジ、ブルッフ(クラリネットとヴィオラのための「二重協奏曲」。ベルギー人ヴィオラ奏者サンダー・ヘールツと共演)のクラリネット協奏曲を録音し、このCDは2018年10月にEvil Penguin Records Classic社よりリリース。


ルーランド・ヘンドリックス

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