リードの基礎知識 Chapter-3

プロ奏者25人に訊く、リード選びのコツ

ここでは、プロ奏者のリードに対するこだわりや、リードを選びときのポイントや基準を紹介しよう。
※2013年9月10日発売「The Clarinet vol.48」に掲載された内容です

質問事項

01 使用しているリード(B♭管)
02 リードへのこだわりは?
03 リードを選ぶポイントや基準は?

 

赤坂達三

ソリスト

01 リコ グランドコンサートセレクト シックブランク…4
02 コシのあるもの。
03ppffなどがきれいに出るもの。

 
©188.CORPORATION+500G

飯島泉

シエナ・ウインド・オーケストラ/クラリネット奏者

01 リコ グランドコンサートセレクト エヴォリューション(アンファイルド)…3½
0203 ストレスなく息が伸びやかに入ること。音は、ガザつかず雑音なく、常に滑らかであること。音域によって音色の違いがなく、安定していること。ある程度の支えがあること、など。
私は、時間をかけて選び、どのような現場環境にも対応できうる数種類のリードを持ち歩くようにしています。簡単なことではないので、いつも悩みはありますが、頑張って努力はしています。

 
photo:Shigeto Imura

大浦綾子

東京佼成ウインドオーケストラ クラリネット奏者

01 バンドーレン V.12 …3½
02 反応の良さ。
03 反応が良く、ほど良い抵抗感がある。

 
©yOU

大島文子

ジュリアード音楽院講師、ニューヨーク州立パーチャス音楽院助教授ほか

01 ゾンダ
02 素敵な音色が作れるリード。
03 吹きやすくて音色の良いもの。

 

大谷淳子

スイス・バーゼル交響楽団 クラリネット奏者/アレクサンダーテクニーク教師

01 リコ レゼルヴ…3.5 & 3.5+
02 厚すぎず薄すぎず、口に負担がかかりにくくて、自分の身体のバランスを取りながらコントロールしやすいもの。
03 しっかりとしていて、それでいて柔軟なもの。音程がいいもの。新しいうちはあまり吹きすぎず、だんだん慣らしていってちょうどいいものを選ぶ。

 

荻原清次

元ゾーリンゲン首席奏者/元洗足学園音楽大学教授

01 バンドーレン ジャーマンカット ブラックマスター…3½
02 発音の良さと、吹奏時における適度の抵抗感。
03 色・形状・左右のバランス・ほど良い吹奏感。

 

海鋒正毅

東京クラリネットフィルハーモニー指揮者

01 バンドーレン V.12…3
02 どのような製品でも(割り箸一本とっても)少しでも使い物にならないものがあれば商品価値がないのに、なぜリードだけは許されているのかな? 困ったことですね。
03 ケーンが変わってきていませんか?(ダブルリードの皆さんも指摘しています)。バンドーレンの偽物対策でのモデルチェンジは困りものです。世界のクラリネット奏者を一律に問題にしている。いつになったら100%使えるリードができるかな? 開発を望む。プラスティックはベーム管ではまだ使えません。

 

加藤純子

クアトロ・パッツァ エスクラリネット奏者/世田谷おぼっちゃまーず指導者

01 バンドーレン V.12…3½
02 E♭クラとB♭クラの持ち替えが多いので、持ち替えた瞬間の違和感がなるべくないよう、両方を気をつけます。コントロールしやすく甘い音が目標です。
03 雑音がなるべくなく、コントロールしやすいこと。

 

亀井良信

桐朋学園教授/パシフィックフィルハーモニア東京特別首席奏者

01 バンドーレン V.12…4
02 息が入りやすいもの。
03 弱音で低音域にノイズが入らないもの。

 

京谷麻里子

シエナ・ウインド・オーケストラ バスクラリネット奏者

01 グロタン…3
02 良い物を見つけたら、保存方法に気をつける。
03 抵抗感があること。自分のコントロールで音色をいろいろと作れること。音程が安定するかどうか。

 

北村英治

ジャズクラリネット奏者

01 リコ グランドコンサートセレクト エヴォリューション…3
02 使いやすくムラの少ないもの。音色は丸く暖かく密度のあるもの。カエリの速いもの。
03 よく湿らせて吹いてみないとわからないが、指でさわってみて、左右のバランスが取れているもの。

 

木村健雄

尚美学園大学講師

01 バンドーレン V.12…3½〜4
02 もちろん音色。
03 そこそこ新しくて、狙った音色が出ること。

 

左藤博之(現・佐藤兼右)

クラリネット奏者/作編曲家

01 リコ レゼルヴ クラシック…4、4.5
02 おそらく他の奏者の方々よりこだわりは少ないと思うが、声を出す時と同じような振動を感じるリードを好む傾向にあると思う。
03 パッと聞いた感じの音色ではなく、いろいろなコントロールのしやすいものを選ぶようにしている。息の感覚との相性が合うかどうかも重要。

 
©井村重人

白川毅夫

一般社団法人日本クラリネット協会常任理事

01 バンドーレン ホワイトマスター…3
02 全音域の鳴りのバランス、抵抗感、息を効率良く響かせるリード。
03 全音域の鳴りのバランスと立ち上がりの反応の良さ。タンギングのしやすさ。息の入りやすさ。ダイナミックレンジの広さ。

 

鈴木良昭

桐朋学園大学客員教授/元新日本フィルハーモニー交響楽団首席奏者

01 バンドーレンV.12…3½
02 気流(息の流れ)で扱えるものを使う(気流に反応し得る柔軟性を持ったもの)。
03 材質が良いこと ⇒ 繊維が密で正目であること。全体の色が植物として正常な感じを与えるもの。

 

高野猶幸

クラリネット&サックス奏者/作編曲家

01 ゾンダ…2.5H〜3.0M、リコ グランドコンサートセレクト トラディショナルまたはシックブランク(ファイルド)…3
02 ロスが少なく、息のエネルギーがきちんと音に昇華されること。音色の張りや支えを助けてくれること。響きがない環境でも、手元で実際のピッチより低く聞こえないこと→明るさが足りないと、耳で補正をして高めに取ってしまうおそれがあるため。
03 最高音のド、そのすぐ下のシが出やすいか、出にくいか、まったく出ないか、を確認しておく→曲中では使わなくても、そのすぐ下の音域の奏法が変わってくるので。下唇の支えがどの程度影響するかも頭に入れておく→支えに追随してくれると音色の自由度が増すが、反面、自力で支えないと音色の張りが足りなくなってしまう。ある程度言うことを聞いてくれて、かつ適度に自立してくれる「ちょうど良い」のが好きです。あとは当然ですが「キレイで良い音がするもの」!

 
写真:梅田正明

武田忠善

元国立音楽大学学長

01 リコ グランドコンサートセレクト エヴォリューション(アンファイルド)…3½
02 吹きやすいリードを選ぶ。
03 音色、吹き心地、レスポンスの良さをすべてリードのせいにしない。ある程度のものを選んだら、そのリードをよく響かせるようにこちらがリードに合わせる。

 

谷尻詩宜

ソリスト/元東京交響楽団クラリネット奏者

01 バンドーレン V.12…3
02 音程が安定していて、かつノイズのないリードであれば必ず美音を出せる。
03 厚すぎず、薄すぎず、左右のバランスが良く、新しすぎず、古すぎない。

 

花岡詠二

ジャズクラリネット奏者/日本大学芸術学部音楽学科講師

01 バンドーレン…3½
02 コシのあるしっかりしたもので、きちんとした音色が得られるもの。
03 先端に繊維質があまりにも多いものは避ける。

 
写真:土居政則

浜中浩一

尚美学園大学大学院客員教授/一般社団法人日本クラリネット協会名誉会長

01 3〜3½
02 透明な音色、心地よい抵抗感のあるもの。
03 繊維のそろった、こまやかなリード。

 

藤井一男

東京クラリネットアンサンブル主宰/ESAオーケストラアカデミー音楽監督

01 リコ グランドコンサートセレクト エヴォリューション…3½
02 音色の濃さ、柔軟性、パワーなどすべてが必要です。
03 少し厚めながら下から上まで豊かに鳴ること。

 

藤井洋子

元読売日本交響楽団首席奏者

01 バンドーレン トラディショナル…3½
02 なるべくどんな状況にも対応可能であること。
03 リードに対して一方的に選ぶのではなく、自分も可能な限りリードに合わせる。

 

益田英生

ジャズクラリネット奏者

01 リゴッティ ゴールド… 3½
02 ジャズ奏者は基本的にソリストなので、他の楽器とブレンドしすぎないように気をつけています。柔らかな音色よりも、硬質なハッキリした音色。クリアな音色よりも、雑味のある味わい深い音色が出しやすいリードを好んで使っています。
03 音色も大事ですが、それと同じくらい音量も大事です。fffぐらい平気で出せるものを選んでいます。

 

松本健司

NHK交響楽団首席クラリネット奏者

01 リコ グランドコンサート セレクト シックブランク…3½
02 心地よい抵抗感を感じながら楽に発音できるリードを吹くようにしています。
03 最優先事項は快適に発音できるかどうか。第1段階は○×式で発音が簡単なものと、簡単でないものとに分類します。そこで選ばれたリードの中から好みのものを演奏会で使うだけです。

 
photo:Masashige Ogata

三界秀実

元東京都交響楽団首席奏者

01 バンドーレン V.12…4など
02 音色も大事ですが、それ以上にコントロールがしやすいリードを選ぶようにしています。
03 自分にとって100点のリードを探すのではなく、80点程度のもので安定した演奏を心がけています。

 
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