アンドレアス・オッテンザマー クラリネット・リサイタル
ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団で首席奏者を務める父エルンスト氏と、兄ダニエル氏を持ち、自身もベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の首席奏者を務めているアンドレアス・オッテンザマー氏。ソロ・クラリネット奏者としても、世界でもっとも長い歴史を持つクラシック音楽のレコードレーベル“ドイツ・グラモフォン”と専属契約を結ぶなど、その才能は高い評価を得ている。そんなクラリネット界のサラブレッドともいえる逸材が今年5月に日本ツアーを行なう。
ツアーに先立ち、アンドレアス氏からメッセージをいただいた。
「クラリネットの魅力は、表現の幅の大きさと、“人の声”との親和性です。男性的なイメージの力強い音から、空間を漂う香りのような音まで、多彩な表現ができます。演奏者としては、すごく楽しいですよね。そしてクラリネットの音は、“人の声”とすごく似ています。弦楽器やその他の楽器と違って、音の出だしはゆっくりと出る。最初から音がバっと出ない。そして、音の終わりも、そっと終わる。こういうところが、「歌」とも通じていると思います。また、歌手が歌曲を歌うときに直面する表現方法へのアプローチや挑戦を歌手と同じ目線で感じられ、そして挑める。それが自分にとって大きな魅力ですし、聴いて下さるみなさんにも、魅力的に聞こえるんだと思います」。
また、今回のプログラムについても話してくれた。
「マーラーの歌曲は、自分で選んで、出版社と協力をしながら、音楽史上おそらく初めてだと思うのですが、クラリネットとピアノの曲に仕上げました。アルペジオーネ・ソナタはみなさん良くご存じの曲ですよね。チェロやヴィオラやいろいろな楽器への編曲がありますが、ぜひクラリネットでも挑戦をしてみたかったのです。後半は、ベルカントを中心にお楽しみいただきます。マーラーとはまた違った表現をお楽しみいただけます」。
ぜひ、この機会に世界的なトッププレイヤーによる生演奏を楽しんでもらいたい。
鎌倉芸術館 大ホールでの公演のチラシ
●アンドレアス・オッテンザマー クラリネット・リサイタル
日本ツアー2016
[出演]
アンドレアス・オッテンザマー(Cl)、ホセ・ガヤルド(Pf)
[プログラム]
ココヴァーチ:R.シュトラウスへのオマージュ/マーラー:歌曲集から《リュッケルトの詩による5つの歌曲集》より〈私はこの世に捨てられて〉、《子供の不思議な角笛》より〈高遠なる知性のお褒めの言葉〉、〈無駄な骨折り〉、〈ラインの伝説〉、《亡き子をしのぶ歌》より〈いつも思う。子供たちはちょっと出かけただけなのだと〉/ブラームス:メロディーのように/シューベルト:アルペジョーネ・ソナタ イ短調 D.821/ベートーヴェン:モーツァルト〈お手をどうぞ〉(ドン・ジョヴァンニ)の主題による12の変奏曲/ニーノ・ロータ:クラリネット・ソナタ ニ長調/カヴァリーニ:アダージョとタランテラ/バッシ:《リゴレット》の主題による幻想曲
5/26(木) 14:00
[会場]滋賀県立芸術劇場 びわ湖ホール小ホール
[問合せ]びわ湖ホールチケットセンター 077-523-7136
5/28(土) 15:00
[会場]鎌倉芸術館 大ホール
[問合せ]鎌倉芸術館チケットセンター 0120-1192-40
5/29(日) 15:00
[会場]三鷹市芸術文化センター 風のホール
[問合せ]三鷹市芸術文化センターチケットカウンター 0422-47-5122
●そのほかの出演コンサート
アンドレアス・オッテンザマー&カメラータ・シュルツ・ウィーン
5/19(木) 19:00
[会場]福岡シンフォニーホール
[プログラム]モーツァルト:クラリネット協奏曲/ブラームス:ハンガリア舞曲 第7番、第1番/レオ・ヴァイネル:Ket Tetel(2つの楽章)ほか
[問合せ]アクロス福岡チケットセンター 092-725-9112
カメラータ・シュルツ・ウィーン 演奏会
5/20(金) 18:45
[会場]広島国際会議場フェニックスホール
[プログラム]モーツァルト:クラリネット協奏曲ほか
[問合せ]グリーンコンサート広島 082-241-8868
カメラータ・シュルツ・ウィーン
5/22(日) 14:00
[会場]東京オペラシティコンサートホール
[プログラム]モーツァルト:クラリネット協奏曲ほか
[問合せ]ヒラサ・オフィス 03-5429-2399
カメラータ・シュルツ・ウィーン ~昼下がりのモーツァルト~
5/25(水) 14:00
[会場]兵庫県立芸術文化センター KOBELCO 大ホール
[プログラム]モーツァルト:クラリネット協奏曲
[問合せ]兵庫県立芸術文化センターチケットオフィス:0798-68-0255
●Profile
アンドレアス・オッテンザマー Andreas Ottensamer(Cl)
1989年、オーストリア・ハンガリー系の音楽一家に生まれる。自然と音楽に惹きこまれ、4歳でピアノの手ほどきを、10歳よりチェロをはじめ、ウィーン国立音楽大学にて学ぶ。2003年よりクラリネットへ転向し、ヨハン・ヒントラーに師事。ウィーン国立歌劇場管弦楽団やウィーン・フィル、そしてグスタフ・マーラー・ユーゲントオーケストラでの活動を始める。2009年、アメリカハーバード大学在学中、ベルリン・フィル・オーケストラ・アカデミーに入学。2010年7月より2011年2月までベルリン・ドイツ交響楽団首席クラリネット奏者を務め、2011年2月、若干21歳にしてベルリン・フィルハーモニー管弦楽団首席クラリネット奏者就任を果たす。
これまでにウィーン楽友協会、ベルリンのフィルハーモニーなどの公演でソリスト、室内楽奏者として活躍するほか、マレイ・ペライア、レイフ・オヴェ・アンスネス、ジャニーヌ・ヤンセン、ヨーヨー・マなど名だたる奏者とも共演を重ねる。2005年、ともにウィーン・フィルハーモニー管弦楽団首席奏者である父エルンスト、兄ダニエルとクラリネット・トリオ“クラリノッティ”を結成。2013年、ドイツ・グラモフォン/マーキュリー・クラシックスと、“イエロー・レーベル”史上初の専属レコーディング契約を結ぶ。デビュー・アルバム「ポートレイツ」では、ヤニック・ネゼ=セガン率いるロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団と共演。日本での公演も多く、近年では2015年7月に新生アンサンブル・ウィーン=ベルリンのメンバーとして、日本全国9公演を行い、大絶賛を博した。今最も輝くクラリネット奏者の一人である。
ホセ・ガヤルド Jose Gallardo(Pf)
アルゼンチンのブエノスアイレスに生まれる。5歳の時にブエノスアイレスの音楽院でピアノを始め、その後マインツ大学音楽学部でポルディ・ミルドナー教授に師事、同大学を卒業。在学中、室内楽に情熱を抱くようになりメナヘム・プレスラー、セルジュ・チェリビダッケなどから音楽的影響を受けている。これまでに国内外での数多くの賞に輝き、ロッケンハウス室内楽フェスティバル、ヴェルビエ音楽祭、ルツェルン音楽祭、シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭など多くの音楽祭に招かれる。ヨーロッパ、アジア、南米でコンサートや室内楽活動を続ける中で、ギドン・クレーメル、アンドレアス・オッテンザマー等との共演を果たし、ベルリン・フィルハーモニー、ウィグモア・ホール、ウィーン楽友協会、ハンブルク音楽堂、フィレンツェのデッラ・ペルゴラ劇場、ローマ聖チェチーリア音楽院などで演奏した。EMI、ヘンスラー、ナクソスなどからCDをリリース。1998年~2008年にはマインツ大学音楽学部で、2008年秋からはアウクスブルク大学のレオポルト・モーツァルト・センターで後進の指導にあたっている。
写真提供:(c) Lars Borges Mercury Classics(アンドレアス・オッテンザマー)