第17回大阪国際音楽コンクール受賞者決定!
10月10日に全審査が終了した第17回大阪国際音楽コンクール。毎回全体の人数はもちろん、海外からの参加者が増えており、演奏レベルや音楽性も多彩になっている。2011年より開始した、世界的な音楽家である審査員による震災遺児支援のための「チャリティコンサート」、各部門第1位が演奏会形式でグランプリを競う「グランドファイナル=ガラコンサート」も、より内容の濃いものとなった。
楽器という枠を超え、出場者がそれぞれの音楽を競うことで、毎年非常にレベルの高い演奏を楽しませてくれるグランドファイナル=ガラコンサートは、今年も例外なく、各出場者が素晴らしい演奏を聴かせてくれた。特に今年度はファイナルの時点で優秀な演奏者が多かったために、審査は大いに難航した。各部門を勝ち抜いた彼らの技術や表現力は抜きんでたものがあるのだが、各楽器の持ち味が違う以上、「何を伝えたいか」がどれだけ明確なのかが勝負の分かれ目となる。この厳しい戦いを勝ち抜いたのは、クラリネットのダニエル・アル・ルゴシ( ハンガリー)であった。高校生を対象とした木管楽器部門Age-H から出場した彼は楽器から多彩な音色を引き出していたことに加え、テンポの絶妙な揺らしを駆使することで音楽に様々なドラマを構築し、会場を巻き込んでいく演奏を繰り広げて、グランプリ受賞という栄冠を手にした。
このコンクールは毎年高レベルの管楽器受賞者を輩出していることも特徴だ。グランプリには届かなかったものの、兵庫県知事賞、アルソ賞等を受賞した白石尚美(As)も大健闘。伴奏者との緻密なアンサンブルも高評価につながった。弦楽器部門からも文部科学大臣賞を獲得したヴァイオリンのカロリーナ・ノヴォチンスカ(ポーランド)をはじめとした奏者が会場に響き渡る美音、確実なテクニックによって多くの賞を獲得したが、注目はジャーナリスト賞等を受賞したヴァイオリンデュオのイナ&フィオナのクォン=フー姉妹(日本・フランス・アメリカ)。まだ小学生にも関わらず、完全に大人顔負けの音色と技術によって会場中を沸かせており、今後の躍進が期待される。
管楽器部門の審査員を務めた前田昌宏氏は、「大阪国際音楽コンクール各部門第1位に選ばれた20名が集うグランドファイナル=ガラコンサートはいずれ劣らぬ素晴らしい演奏が続きました。そのなかでサクソフォン奏者白石尚美さん(相愛大学卒業)はトマジ作曲の協奏曲を演奏し、落ち着きのある美しい響きと、熟考を重ねられた音楽表現で聴衆を魅了しました」と評価した。(大阪国際音楽コンクール事務局)
グランプリを受賞したクラリネットのダニエル・アル・ルゴシ( ハンガリー)さん
◆第17回大阪国際音楽コンクール 結果
■グランプリ Daniel Ali LUGOSI(Cl)〈ハンガリー〉
■文部科学大臣賞 Karolina Nowotczyńska (Vn)〈ポーランド〉
■大阪府知事賞 Junyan CHEN (Pf)〈中国〉
■兵庫県知事賞 白石尚美(A.Sax)
■大阪市長賞 平井菜々子(Hp)
■高槻市長賞 瀬戸高代(Cemb)
■神戸市長賞 Tina DROLE(Mez)〈スロベニア〉
■ウィーン国立音楽大学特別賞 Junyan CHEN(Pf)〈中国〉
■ウィーンスカラシップ・イーサ Karolina Nowotczyńska(Vn)〈ポーランド〉
■クロイツベルガー賞 須藤帆香(Pf)
■パリ・ミュージック・フォーラム賞 Yunyoung CHO(Daegeum)〈韓国〉、津金澤広大(Pf)
■カップ= フェレ音楽祭スカラシップ Yunyoung CHO(Daegeum)〈韓国〉、Daniel Ali LUGOSI(Cl)〈ハンガリー〉、内田 朱織(Mrb)
■ノーザン・ライツ・ミュージック・フェスティバル賞 Duo Hina KHUONG‐HUU(Vn)〈日本/ フランス/ アメリカ〉/ Fiona HUONG‐HUU(Vn)〈日本/ フランス/ アメリカ〉、仁科友希(Va)、栗原壱成(Vn)
■セシリア国際音楽コンクール賞 津金澤広大(Pf)、Duo Hina KHUONG‐HUU(Vn)〈日本/ フランス/ アメリカ〉/ Fiona HUONG‐HUU(Vn)〈日本/ フランス/ アメリカ〉
■松尾博賞 平井菜々子(Hp)
■ジュニア・パルナッソス賞 中西紗菜(Pf)
■ジャーナリスト賞 Duo Hina KHUONG‐HUU(Vn)〈日本/ フランス/ アメリカ〉/ Fiona KHUONG‐HUU(Vn)〈日本/ フランス/ アメリカ〉
■音楽現代賞 白石尚美(A.Sax)
■アルソ賞 白石尚美(A.Sax)
■オーディエンス賞 Duo 松本紘佳(Vn)/ 杉林岳(Pf)
アルソ賞を受賞した白石尚美さん