Rising Artists Concert Vol.2~コンクールを制した新星たち~
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将来を嘱望される若手アーティスト5人による豪華なコンサートが開催された。飯島諒(フルート)、藤原功次郎(トロンボーン)、そしてピアノの務川慧悟、反田恭平の各氏がまるでリサイタルのような白熱の演奏を繰り広げる中、川上一道氏は、クラリネットならではの人間味ある音色で会場を魅了した。
川上氏が演奏したのはヒンデミットの『クラリネットとピアノのためのソナタ』(Pf:石橋尚子)。
第1楽章はユーモラスで伸びやかな旋律が川上氏の温かい音色で演奏され、クラリネットの魅力を十二分にアピールする。少し速度の早い第2楽章は現代音楽風なフレーズも登場するが、やはりクラリネットの音色にひそむヒューマニズムのようなものにしっかりと支えられている心地良い演奏だった。第3楽章は落ち着いた音色で、長いフレーズを隅々までていねいに聴かせる。 第4楽章は美しくそして軽妙な演奏で、曲のエンディングも非常にこなれた、お洒落な雰囲気。 さまざまなイメージを表現できるクラリネットの自由さと独自性を会場に印象づけた。
曲を通して楽しく気のおけない雰囲気があふれていたのは、川上氏の人柄のなせる技だろうか。上質な演奏なのに、聴き終わるとふと笑顔になるような和やかさに満ちていた。川上氏の演奏は、クラリネットファンだけでなく、他の楽器を目当てに来場した観客の心にもきっと残ったことだろう。
Photo:Ayumi Kakamu
7/5(金)ヤマハホール(東京)
出演:飯島 諒(Fl)、川上一道(Cl)、反田恭平(Pf)、藤原功次郎(Tb)、務川慧悟(Pf)
曲目:P.サンカン:ソナチネ、A.ジョリヴェ:リノスの歌、P.ヒンデミット:クラリネットとピアノの為のソナタ、F.ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ Op.22、B.アッペルモント:トロンボーンのための《カラーズ》(1998年)、藤原功次郎:風、G.F.ヘンデル:シャコンヌ ト長調 HWV435、A.スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第5番 Op.53
お詫びと訂正
第48号83ページ「Clarinet Information」にて、日程、会場、出演、曲目の記載が抜けておりました。
深くお詫びするとともに、訂正させていただきます。