クラリネット記事 バスクラリネット奏者対談 加藤明久(NHK交響楽団)× 有馬理絵(東京佼成ウインドオーケストラ)
  クラリネット記事 バスクラリネット奏者対談 加藤明久(NHK交響楽団)× 有馬理絵(東京佼成ウインドオーケストラ)
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The Clarinet 52号 特集│バスクラリネットの魅力が面白いほどわかる!

バスクラリネット奏者対談 加藤明久(NHK交響楽団)× 有馬理絵(東京佼成ウインドオーケストラ)

「バスクラリネットのプロ」といえば、まず思いつくのがオーケストラやプロ吹奏楽団の奏者。いったいどんな練習をして、どんな思いで演奏しているのだろうか。そこで、今回は加藤明久氏と有馬理絵氏のお二人に対談をお願いし、バスクラについて思う存分語っていただいた。バスクラの苦労や難しさを知り尽くした二人の、楽器にかける深い思いをぜひ聞いてみよう。

 

昔はもっと疎外感の大きい楽器

バスクラを吹き始めたきっかけを教えてください。
有馬理絵
(以下 有馬)
中学の吹奏楽部で、クラリネットパートのメンバーは各自、順番に3ヵ月間ずつバスクラを吹くことが決められていたんです。だから半ば強制で吹かされたのですが、やってみると面白いなと。
加藤明久
(以下 加藤)
僕は中学で部活を選ぶ時に出遅れて、連休前ごろやっと吹奏楽部に入部したんです。その時はバスクラしか残っていなかった。楽器は進駐軍払い下げの古いもので、僕しか音が出せなかったものだから、ずっと吹かされていました。中1の秋にBクラリネットを買ってもらっていたのに、吹奏楽部ではなかなか吹けなくて......、1年半くらいバスクラをやらされました。あの時は本当にバスクラがいやでしたね。
有馬
私が最初に吹いた楽器は、セルマーのショート管。音色がBクラとぜんぜん違うのが印象的でした。
加藤
当時のバスクラは木の厚みが薄くて、いまよりもっと軽い楽器。倍音もあまりなく、「ポー」という素朴な音がしました。テレビの時代劇「銭形平次」で使われていましたね。



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・必ずBクラで練習しましょう
・アンサンブルの秘密兵器? エンドピン

 

Profile
加藤 明久 Akihisa Kato
加藤 明久
Akihisa Kato
国立音楽大学器楽学科卒業。クラリネットを大橋幸夫、浜中浩一の両氏に師事。在学中は、高校時代からの憧れだった国立音楽大学ブラスオルケスターのコンサートマスターに就任し活躍。大学卒業の年より制定された矢田部賞を受賞。第53回読売新人演奏会などの新人演奏会に出演。第16回東京国際音楽コンクール室内楽部門第1位入賞。第1回日本クラリネット・コンクール入賞。第35回ミュンヘン国際コンクール木管五重奏部門でファイナリスト。欧日音楽講座にて初のビュッフェ・クランポン賞を与えられる。第2回日本クラリネットコンクール入賞。1990年NHK交響楽団に入団し現在に至る。東京クラリネット・アンサンブル団員。

Profile
有馬 理絵 Rie Arima
有馬 理絵
Rie Arima
奈良県奈良市出身。12歳よりクラリネットを始める。京都市立芸術大学を首席で卒業。音楽学部賞を受賞。1999年東京藝術大学大学院を修了。朝比奈千足、村瀬二朗、村井祐児、鈴木良昭、三界秀実の各氏に師事。第68回日本音楽コンクールクラリネット部門入選。第18回日本管打楽器コンクールクラリネット部門入賞。NHK-FM「名曲リサイタル」、宮崎国際室内音楽祭、清里音楽祭、アフィニス夏の音楽祭、トンヨン国際音楽祭、「知られざる作品を広めるコンサート」シリーズ等に出演。その他ズーラシアンブラス、アールレスピランのメンバーとして現代音楽作品、新曲初演を数多く手がける。2007年東京佼成ウインドオーケストラに入団し現在に至る。洗足学園音楽大学非常勤講師。

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