第2回 |赤坂達三のクラリネット吹きができるまで!? 〜年譜・おしゃべり〜
本誌の創刊から1年が経とうとする2001年、7号より連載「赤坂達三のクラリネット吹きができるまで!?」はスタートしました。クラリネットをはじめたきっかけや、師匠田中保人さんとの出会い、音大入学、留学からプロになるまでの道のりを、ご本人の趣味やおしゃべりを交えながら軽やかな口調で語っています。全10回の連載をどうぞお楽しみください。
前書き「クラリネット吹き」の定義?
連載当時のプロフィール画像より
苦し紛れではじまったこの連載、無事2度目を迎えることになりました。お陰様で意外と評判良かったようでm(__)m
第2回だというのにいきなり気持ちを入れ換え、タイトルを「自伝」なる大げさなものではなく、「年譜」としましょう。 これなら私もなんとなく気が楽だ。
さて、はじめに私の現在の姿などを少々……。一口に「クラ奏者」と言っても、いろいろいらっしゃいます。まず一般的には、プロオケのクラセクションで演奏されてる方を指します。しかしそれだけではございませんで、プロの吹奏楽団のクラ奏者もいるし、学校の先生と演奏活動を両立されている方、オケ&教師&ソロ&......あと何があったっけ? 室内楽とか、スタジオとか、なにしろ全部やってて初めてクラ奏者として認める! なんて言われる厳しい方もいらっしゃれば、本職でなく、趣味でのめりこんで、自らそう名乗るかたもいらっしゃる。ジャズなんかでライブハウス専門なんてのも立派なみんなの憧れミュージシャン! おっと、前フリが長くなってますが、まったく仕事がないフリーでも忙しいフリーでもクラ奏者はクラ奏者。早い話クラリネットをやってる人を指すのか、世の 中(どんな世の中よ?)がそう認めた者だけを指すのか? はっきり言って規定などないのです。
私なんか、この前スキューバ・ダイビングのライセンスを取ったので、「クラリネッティスト」兼「ダイバー」だぞ! 「ダイバーが出来るまで?」ってなわけで、失礼! なんだか話がそれてる……。
まぁ、その〜(古い)、私はどんなクラ奏者かと言うと、人生楽しむタイプのクラ奏者。 答えになってないって? とにかく、よく働き(もちろん主にクラリネット演奏)よく遊ぶ(主に旅行、温泉やビーチなど[注:演奏旅行は遊びじゃない])。私の仕事はたいてい土日から入り、祭日祝日なんかにイベントなど、金曜月曜は移動日、残りの平日にまたぽつりぽつりとお仕事が入ってまいりまして、その合間をぬってレコーディングやら打ち合わせやらで、簡単にいってそんな生活なんです。
だから休みはたいてい火水木の昼間のどれか。あとは、家にいないし、ホールやスタジオ、フライト中、海外にいれば電話にも出られない。よって連絡手段は主に携帯メール。 またはマネージャーまで……ってことになるわけ。言って見ればトラック一台しかない運送屋みたいなもんです。それに、世の中が働いてる時に突然OFFになったりして、平日昼間にフィットネスなんか行ってると「お仕事は何ですか? もしかして……これ?(手を口の横に添えて)」なんて聞かれたり、その逆も。冬はスキー客にまみれて一人、衣装と楽器を持ってしかめっつら。空港ではウキウキ気分の人混みの中一人イライラ片手に楽器。
そういうクラ奏者がいたっていいじゃないか(これも古い。解る?)。この前なんて、デパートでカード作れって店員がうるさいから、職業聞かれて「フリーの音楽家です」って答えたら「フリーターですね」だって。
さて、先ほどの2度に渡る古いギャグがわかった人。”浅間山荘事件”よりも、”横井庄一グアム島より帰国”よりも少し前の時代を思い出してくださ〜い。
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赤坂 達三 (あかさか たつぞう)
1964年東京生まれ。国立音楽大学で学んだ後、渡仏。87年パリ国際音楽コンクール第1位、91年トゥーロン国際音楽コンクール第3位、日本木管コン クール第1位など輝かしい受賞歴を持つ。テレビ、ラジオにも多数出演、99年春のNHK連続テレビ小説『すずらん』主題曲を吉田美奈子とデュエット、大きな反響を呼ぶ。CDにはゲーデ・トリオと録音した『ブラームス、モーツァルト:クラリネット五重奏曲』(02年)など多数リリース。世界的に演奏活動を展開し、エリザベト音楽大学で教授を務める。
次回更新もお楽しみに!
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