クラリネットのリストを目指して
昨年立て続けに国内のコンクールで第1位を受賞、一躍日本のクラリネット界のニューヒーローに踊りでたコハーン・イシュトヴァーン氏。ハンガリー出身の彼が日本を活動の舞台に選んだ理由、そしてリストとパガニーニを尊敬すると語る彼の素顔に迫った。
写真:橋本タカキ 協力:株式会社ヤマハミュージックジャパン
とてつもないエネルギーを注ぎ込んだコンクール
イシュトヴァーン(以下K)
例えば3年前に同じような状況にあったとしても、絶対成功できなかったということは確信しています。私は天才でも特別な人でもないので、たくさん努力したことが報われたのだと感じています。
でも冷静に考えれば、練習しなければいけないですし、曲を書きたいという気持ちもあります。未来に向けて新しいプロジェクトなどもいろいろ考えなければならないと思っているので、そこは今後も充実させていきたいと思っています。
父の背中を追って励んだクラリネット
母はフルーティスト、祖父はファゴット奏者でした。全員プロフェッショナルです。ハンガリーでは音楽一家に生まれた子どもは音楽をやるという習慣があります。そのような一家では、子どもに楽器をやらせたい時に他の先生に頼むことが多く、父もよく指導を頼まれていました。ただ、私の場合は父が直接教えてくれました。一度も厳しいと思ったことはないですが、他の友だちに言わせると特別厳しく教えているように感じたそうです。
>>次のページに続く
・初めてのメンテナンスは日本で!
・大作曲家たちを魅了したハンガリーの音楽
・目指すはリストの後継者!
・すべての基本はスケール
・クラリネットがソロ楽器として輝く世界へ
István Kohán (コハーン・イシュトヴァーン)
ハンガリー出身のクラリネット・ソリスト。6歳でハンガリー国立音楽学校へ入学し、ソルフェージュとリコーダーを、8歳で父の手ほどきでクラリネットを始める。幼少の頃から才能を発揮し、12歳でバルトーク音楽院(高等学校)英才教育コースに入学すると、J.リヒテルクラリネットコンクール第1位、カルリーノ国際音楽コンクール第1位、アントンエベルスト国際クラリネットコンクール第1位、ICA国際クラリネットコンクール第1位など、ハンガリー在住中より数多くの国際コンクールで優勝・入賞する快挙を成し遂げる。リスト音楽院卒業後の2013年7月に活動拠点を日本に移した。2013年、第11回東京音楽コンクール第1位及び聴衆賞受賞。ハンガリーの若手芸術の分野で最も権威のある賞「ジュニア・プリマ・アワード」受賞。2015年第4回秋吉台音楽コンクール第1位及び山口県知事賞受賞。第26回日本木管コンクール第1位及びコスモス賞、兵庫県知事賞、朝日新聞社賞、神戸新聞賞を受賞。第84回日本音楽コンクール第1位及び岩谷賞(聴衆賞)、E.ナカミチ賞を受賞。2016年3月東京音楽大学大学院修了。これまでに新日本フィルハーモニー交響楽団(アントニオ・メンデス)、東京フィルハーモニー交響楽団(梅田 俊明・円光寺 雅彦)、紀尾井シンフォニエッタ(澤 和樹)、ジュールフィルハーモニー交響楽団(ハンガリー:カールマン・ベルケシュ)、東京音楽大学シンフォニーオーケストラ(現田 茂夫)とコンチェルトを協演、またソロリサイタルや室内楽の活動を展開する他、2014年からは作曲家としても活動の幅を広げる。
CD Information
コハーン・イシュトヴァーン 2nd Album 「Message From France」
メサジェ:ソロ・デ・コンクール
ラボー:ソロ・デ・コンクール
ピエルネ:カンツォネッタ
ヴィドール:序奏とロンド
ドビュッシー:第一狂詩曲
サン=サーンス:クラリネット・ソナタ
プーランク:クラリネット・ソナタ (曲順未定)