音楽に限らず、様々なことに好奇心を持つことが大切
各方面から“現代最高のクラリネット奏者のひとり”と、高い評価を受けているシルヴィー・ユーさんは、世界に著名なパリ・ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽団の第一ソリストであり、初の女性奏者でもある。そんな彼女にクラリネットのこと、楽団のこと、そして日本のことを訊いた。
アンブシュアを理解したらすぐに音が出た
日本はとても好きな国です。ギャルドの演奏旅行で1985年に初来日した時は、当然ながらもっと若かったですが……、5週間滞在しましたから、いろいろなものを見る時間がありました。このとき大都市以外の町も訪れており、とても興味深かったです。日本の文化に関心があるので、日本について書かれた本をたくさん読みました。考え方や気質はフランスとかなり違いますが、文化も人々も歴史も、私を夢中にさせてくれる国です。
フランスにはどんな小さな町にも音楽院がありますが、必ずしもすべての楽器の先生がいるわけではありません。私の町の場合ホルンの先生はおらず、クラリネットの先生がいました。
しかも、とても良い先生に習っていましたので、すぐに楽しいと感じるようになりました。両親は音楽家ではないので、クラリネットは私だけのもの、私だけの世界で、家族の誰にも関わりのないこと、すべて私の責任でやること、そう思えて嬉しかったです。
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・完全なグループになる必要がある
・セルマーはどの楽器もまとまりのある音
シルヴィー・ユー Sylvie Hue
パリ・ギャルド・レピュブリケーヌ管弦楽団の第一ソリスト。パリ国立高等音楽院でクラリネットを学ぶ傍ら、パリ第12大学にて文学も修める。ギィ・ドゥプリュ、クリスチャン・ラルデに師事し、1987年クラリネットで審査員全員一致の一等賞、1988年室内楽で2つの一等賞を獲得。同年、現代文学の学位も取得。作曲をジャン=ミシェル・バルデスに師事。1988年日本クラリネットコンクールにて一等賞、1991年プラハの国際コンクールでも優秀な成績を修め、以降フランスのみならず世界各国でリサイタルやオーケストラとの共演などで活躍を開始。多くの作曲家から協奏曲や室内楽作品を献呈されている。教育にも力を注ぎ、パリ市のダリウス・ミヨー音楽院、オルセー音楽院にて教鞭をとるほか、洗足学園大学、チェコのオストラヴァ大学の客員教授も務める。フランス国立ユース・ウインド・オーケストラの木管セクション監督。