自由な吹奏感を求め続け、自身が納得できるエディ・ダニエルズモデルのリガチャーが完成!
「ジャズクラリネット界は彼なしでは語れない」と言っても過言ではない、ジャズクラリネット界の巨匠であるエディ・ダニエルズ氏が2回目の登場です。15歳でニューポート・ジャズフェスティヴァルに出演し、1989年にはアルバム「メモズ・フロム・パラダイス」でグラミー賞を受賞した同氏は、クラシック曲をジャズ風にアレンジしたヴィヴァルディ『四季』や、ロンドン交響楽団との共演を果たしクラシックとジャズを融合させたアルバム「Breakthrough」をリリースするなど、ジャズに限らず素晴らしいクラシックの演奏に多くのファンを持つプレイヤーです。
そんな彼が監修したエディ・ダニエルズ《エクスプレッションズ》リガチャーが日本初上陸! 今回は、コロナ禍での生活や、最新リガチャーについて語ってもらいました。また、このリガチャーを開発したデイヴ・ノックス氏にも登場いただきます。
取材協力:ブレーン株式会社、インタビュア:土井徳浩(ジャズ・クラリネット奏者)、通訳:井上知香(サックス奏者)
レール間の溝=エア・チャンネル
(以下Eddie)
よく昔から「(リガチャーなしで)親指でリードを押さえた時が一番いい音がする」と言われていました。どうやったらその親指と同等の感覚のリガチャーが作れるのだろうとずっと考えていたんです。
長年たくさんのリガチャーを試してきて(リガチャーの開発者でありBanddirector.comの)Dave Knoxが、いろいろなサンプルを送ってくれるようになりました。形状の異なるもの、様々なレールのデザインが使われているものなどね。リガチャーは時にリードを締め付け、自由さを奪います。しかし、Daveと私は自由(Free)な吹奏感を求め続けました。
(以下Dave)
(以下土井)
カーボンファイバーは、ゴールドに比べて柔らかい素材です。リードを自由に振動させることができます。
ブルーはアルミニウム製。本来、スチューデントモデルまたはビギナーズモデルとして考えていましたが、その枠に収まらないほどの仕上がりです。価格も割安。若いプレイヤーはブルーから始めて、次にゴールドやカーボンファイバーを試すことをオススメします。
私は今までクラリネット奏者であるDaniel Bonadeが製作するメタル製リガチャーが理想的だと思っていました。リードに接する部分がレール形状で、リードを押さえつけにくい構造になっています。一方、Eddie Danielモデルはレールとブロックが一体となっており、レールの外側(リードとの接触面)に角度をつけています。
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・簡単で吹きやすい楽器が理想
・ゆっくり、そして繰り返すこと
エディ・ダニエルズ Eddie Daniels
1941年10月19日生まれ。米・ニューヨーク出身のジャズ・クラリネット奏者。サックス奏者、作曲家としても活動している。10代のころフランク・シナトラのような歌手の伴奏をする演奏家に惹かれてジャズに興味を持つ。15歳でニューポート・ジャズフェスティヴァルの青少年コンテスト部門に出演。その後、サド・ジョーンズほか様々なアーティストとの共演やバンドのツアーや録音に参加。1980年代以降はクラリネットに注力し、89年に『メモズ・フロム・パラダイス』でグラミー賞を受賞。日本人では日野皓正や菊地雅章らとの録音があり、91年に来日も果たす。2020年に、2018年の『ハート・オブ・ブラジル』に続くトリビュート作『ナイト・キッシーズ』をリリースするなど、ジャズ・クラリネット奏者として確固たる地位を築く。