ゴーベールの未出版の作品を含めて収録した2枚組アルバムをリリース!
メガネ男性によるフルートカルテット「アンサンブル・リュネット」のメンバーである江戸聖一郎氏が、フィリップ・ゴーベールの作品を収録した2枚組による「ゴーベール:フルートとピアノのための作品全集」をリリースした。ピアノは、フルーティストやプロデューサーとしても活躍中の瀬尾和紀氏。フルート界にとって貴重な記録となるアルバムのこと、さらに江戸氏のフルーティストとしてのルーツを訊いた。
現行版と初版を収録した『ファンタジー』
でも、話があったのは2023年10月で、かなり微妙な時期だったんですよ。私は今年の4月から沖縄県立芸術大学の専任講師として沖縄にいますが、その前年の10月は、沖縄県芸での仕事が決まるかどうかの時期だったのです。しかも録音は今年の4月。県芸の仕事が決まったら4月は着任したばかりで休みをいただくことになると考えたんです。でもやりたいことをやろうと思い、OKの返事を出しました。
準備で一番大変だったのは『ファンタジー』の初版です。今回のアルバムには、みなさんがよく演奏する現行版と初版の両方を入れたのですが、初版は現行版で大きくカットされている部分があり、難しかったですね。
実はゴーベールの残っている作品の中には改訂しただろうと思われるものは他にもあります。ただそれらは、推敲を重ねた結果の軽微な変更です。『ファンタジー』の現行版は、パリ音楽院の試験に合わせたため、大幅にカットされた部分があり、これが通常演奏されています。
インタビューは続きます!
・他のピアニストにはない魅力
・図工の授業がきっかけでフルーティストの道へ
●江戸聖一郎/Seiichiro EDO
京都市立芸術大学音楽学部卒業。大学卒業後に渡仏し、フランス国立オールネイ・スー・ボワ音楽学校において、世界的フルート奏者であるパトリック・ガロワ氏に師事する。同校を審査員満場一致の一等賞を得て卒業。京都市立芸術大学大学院音楽研究科博士(後期)課程を修了し、フランソワ・ドゥヴィエンヌに関する研究で博士号を取得。2007年よりザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団フルート奏者を務め、オペラをはじめ、数多くの公演に参加する。メガネ男性フルート奏者4名によるパフォーマンス・グループ「アンサンブル・リュネット」、フルートと打楽器によるデュオ・ユニット「エピスリー」、ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団ゆかりのメンバーによる七重奏団「アンサンブル・ならく」など、オリジナリティにあふれる演奏活動を活発に行なっている。2020年にギタリストの大萩康司とのデュオCD「DOTS & LINES」、リサイタルのライブ録音CD「江戸聖一郎フルート・リサイタル〜パリの風〜」をリリースし好評を得る。沖縄県立芸術大学専任講師、大阪音楽大学非常勤講師を務め、後進の指導にあたっている。2016年度伊丹市芸術家協会新人賞受賞。
使用楽器:パールフルート 14K製ハンドメイドマエスタ“ゴールド”
■CD「ゴーベール:フルートとピアノのための作品全集」(2枚組)
【VTS-27】Virtus Classics
[演奏]江戸聖一郎(Fl)、瀬尾和紀(Pf)
[曲目]Ph.ゴーベール:小品/ロマンス(1905)/ノクチュルヌとアレグロ・スケルツァンド/子守歌/ロマンス(1908)/マドリガル/ギリシャ風ディヴェルティスマン/水上にて/ファンタジー(初版)/牧歌的な踊り ~バレエ『フィロティス』より/フィロティス/2つのスケッチ/シシリエンヌ/ソナタ(1917)/ファンタジー(改訂版)/ソナタ 第2番/バラード/幻想風ソナチネ