山元康生の吹奏楽トレーニング!│第6回
新型コロナの影響で延期になった2020年の吹奏楽コンクール。課題曲はそのままスライドして、今年2021年に開催が始まりました。今からフルート演奏の基礎を見直して、「良い音」「正しい音程」「音量のコントロール」「正確で俊敏な指使い」を手に入れられるトレーニングをしてみませんか?
ハーモニクスで音程の「比較エクササイズ」
では、音程の練習を始めましょう。
基音から第2倍音、第3倍音、第4倍音の、それぞれのハーモニクスを導いて、スラーのまま通常の運指で吹いた音と比較します。
例えば、第1段目はC1の指で1オクターブ上のC2をハーモニクスで出します(harmonicsと表示しています)。
その後、通常の運指(normalと表示しています)に変えてC2を吹き続けます。
※の付いた音は通常の運指ですが、このエクササイズのときだけはハーモニクスのときに押さえた右小指をE♭レバーへ移動させずにCローラーに残したままで構いません。そのほうが、楽器が安定します。
チューナーを見ると、第2倍音のC2とノーマルのC2では、ほとんど音程は変わりませんね?
ここでハーモニクスよりノーマルのほうが低い人は頭部管の抜き過ぎか、うつむいて歌口をふさぎすぎていることが考えられます。
第3倍音、第4倍音ではハーモニクスとノーマルの音程が微妙に違うことがあります。それぞれの音を、それぞれ別の奏法で吹くのではなく、それぞれの音程の違いが最小になる吹き方を見つけてください。
少しくらい違っていても構いません。「悪くない音程」で吹けるようになるのが目的です。
構えが安定してなかったり、唇を固く絞っていたりすると難しいです。過去の連載を見直して基本的な奏法を再確認してください。力を入れるべきところは入れて、抜くべきところは抜いて安定した奏法ができると音程は自然と良くなります。
C♯1の指でC♯2のハーモニクスを吹くとどうなりますか?
また、C♯2のノーマルと比べてみるとどうでしょうか?
ここでも※のときに右小指を移動させずにC♯レバーに残して構いません。
C♯2(D♭2)のノーマルは一般的に高くなりやすいと言われます。
この場合、ハーモニクスに比べて高くなるのであれば、構えがゆるいのだと思って良いでしょう。
構えをしっかり安定させればC♯2は高くならないのです。
楽器を内側に回して音程を下げるのはやめましょう。
ノーマルのE♭3、E♮3、G♯3は、それぞれのハーモニクスに比べて高くなりやすいです。
これらの音もハーモニクスの吹き方を意識すると音程の違いが少なくなると思います。
唇を開けることも意識してください。
上下左右に開けると意識するだけでなく、顔を上げて上の唇が下唇より前に出ていると唇を開けたことになります。
口の中を狭くするように意識すると、その吹き方が上手くできて、鳴りも良くなります。
毎日ハーモニクスを練習して、いろいろなダイナミクスで上手に吹くことができるようになったら簡略化された【譜例1bis】で練習時間の節約をしてください。
これらの「比較エクササイズ」は、チューナーがなくても効果的な練習ができます。
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