フルート記事 『YFL-412LSE』を関井うららがチェック!
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ヤマハ×島村楽器コラボレーションモデル

『YFL-412LSE』を関井うららがチェック!

GEAR

ヤマハが世界に誇るベストセラーフルート、「スタンダードシリーズ」。そのシリーズ最上位である「YFL-412」の島村楽器コラボレーションモデルがこのほど発売となった。そこで、フルート奏者 関井うららさんによる試奏を行ない、その魅力に迫った。

ヤマハが世界に誇るベストセラーフルート、「スタンダードシリーズ」。普及モデルとして世界的地位を築いた、そのシリーズ最上位である「YFL-412」の島村楽器コラボレーションモデルがこのほど発売となった。YFL-412の仕様はそのままに、リッププレートと頭部管内部が金メッキ仕上げとなった「YFL-412LSE」だ。
そこで、ブラス・ジャンボリーにてナビゲーターも務め、ヤマハの「スタンダードシリーズ」と「プロフェッショナルシリーズ」それぞれの特性をよく知るフルート奏者、関井うららさんによる試奏を行ない、その魅力に迫った。

音が散らずにまとまってくれる

実際に吹いてみていかがでしょうか?
関井
ヤマハのスタンダードシリーズ(YFL-200〜400)のフルートは、初級者用に造られている楽器というのもあって、初心者の方でも息を入れたらちゃんと鳴ってくれる「軽い吹き心地」が特徴です。そのため、私がいつもどおりの感覚で吹くとオーバーブロウになってしまうのですが、このモデル(YFL-412LSE)は息をたくさん吹き込んでも「音が散らずにまとまってくれる」のが、一番最初に感じた印象ですね。
オリジナルのYFL-412と比較してどうでしょう?
関井
吹奏感の面でYFL-412より抵抗感があります。それが最初に感じた「音のまとまり」に繋がっていますが、抵抗が増した分しっかり吹き込めて、ちゃんと鳴ってくれるので、ダイナミクスレンジがより広がっていると実感します。ピアノもフォルテも凄く吹きやすい。「吹き込みたい」って思わせてくれる楽器ですね。これは、聴いている人にも音量感や響きがアップして聞こえると思います。
音色面の違いはどうでしょうか?
関井
YFL-412自体、明るく華やかな音色を持った楽器ですが、金メッキの仕様によって音の厚みがプラスされ、響きが増すことで“深み”が加わった印象ですね。芯のある太い音色で、重厚感がより感じられます。

響きを自分で作り出せる魅力

YFL-412の管体銀製という仕様はそのまま、頭部管内部とリッププレートが金メッキという仕上げですが、その影響は?
関井
先ほどの吹奏感の変化もそうですが、このモデルは「響きを自分で作り出している」という感覚を奏者がしっかり持てる楽器です。頭部管はフルートの音作りに最も影響する部分なので、金メッキの仕様が影響しているのではないかと思いますが、息を入れた時にサウンドや音の響きを自分で作れていると実感できるのは大きな魅力ですね。
逆に、今までスタンダードシリーズを使っていた方にとっては、「今までのように鳴らない……」と感じることは?
関井
上位モデルへの持ち替えの際に、抵抗感や楽器の鳴りの変化から、そう感じる方もいると思います。これはある程度楽器に慣れていくしかないのですが、私の場合、指導の際に吹き方や角度を見直してあげることで解決することがほとんどですね。
ソロやアンサンブルといった場面では?
関井
ヤマハの特徴でもある音程感の良さに、“音のキャラクター”が加わっているので、ソロでも音がしっかり立ってくれると思います。柔らかい音の出る楽器だと、音の輪郭が曖昧になって「ふわふわ」とした音に聴こえてしまいがちですが、この楽器は芯が太いので、アンサンブルなどの少人数の演奏の場面においても音が埋もれず、ちゃんと個性が乗った音を出せると思います。
吹奏楽の場面ではどうでしょう?
関井
吹奏楽では、すぐ後ろから金管が鳴っている状況で、フルートの存在感を求められる場面も多いので、指導される先生から「フルートの音量が足りない!もっと鳴らして!」と指摘される……なんてことも多いと思います。そんな時、初級者モデルのフルートだと楽器が応えられないことも多いのですが、このモデルは先ほどの音量感や響きがアップされるので、しっかり鳴らすことができると思います。きっと先生にも怒られない(笑)。

長く使える最初の1本

具体的にどんな人にオススメですか?
関井
2本目の楽器としては、プロフェッショナルシリーズ(YFL-500〜700)の『フィネス』を選んでいくと思うので、やはり“最初のフルート”を検討されている方に一番オススメですね。 最初のフルートを購入する上で価格は大きな判断要素だと思います。その時に、予算はあまりないけど銀は入っていてほしいので200シリーズではなく300か400シリーズ以上、でも500シリーズのフィネスには手が届かない……という方は多いと思います。特に、安価だけど頭部管銀製が味わえる300シリーズと、最初からプロフェッショナルモデルを使いたい500シリーズの間に位置していたのが400シリーズですが、新しい“個性”が加わった400シリーズの「YFL-412LSE」が出たことで、選択肢はより広がったと思います。
社会人になってからフルートを始める方はもちろん、中学で吹奏楽に入って楽器を手にする方にとっても3年間ずっと使いつづけられる楽器だし、小学校からフルートを始めるという方にとっても、“最初の一本”にまさにピッタリなフルートだと思います。

 

 
リッププレートと頭部管内部が金メッキ仕上げになった特別仕様!
YFL412LSE
YFL-412LSE
[価格] ¥195,000(税抜)
[材質] 管体:銀製(頭部管内部金メッキ)/リッププレート:銀製、金メッキ仕上げ/キィ:洋銀
[システム] トーンホール:引き上げカーリング/カバードキィ/C足部管/オフセット
[付属] ケース、ケースカバー
 
ヤマハスタンダードシリーズとの価格・材質比較
比較表

 

関井うらら

仙台市出身。小学校のマーチングバンドでトランペットを始め、 中学校から大学まではフルートで吹奏楽を続け、その後尚美 ミュージックカレッジ専門学校でフルートと吹奏楽指導を学ぶ。 卒業後の現在は、音楽コーディーネーターとして音楽に関わる様々な活動を行っている。2013年に結成したユニットura*cocoでは2013年11月にシングルCD「LorL」を出し、2016年3月に2ndミニ アルバム「GIFT」を発売。TSUTAYAクラシック週間チャートで1位を獲得。演奏活動以外では、映画「ハルチカ」にて橋本環奈氏のフルート指導を担当。その他にもアニメ「このはな綺譚」をはじめゲームなどのBGMにも多数参加。また、近年は多くの吹奏楽部から指導依頼を受けており、吹奏楽コンクールでは東日本大会にて金賞を受賞した。



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