アルタス×島村楽器コラボレーションモデル
『A1007E/SL』を林愛実がチェック!
吹奏楽層にも人気のアルタスフルート「A1007E」をベースにした島村楽器とのコラボレーションモデルが誕生。従来のアルタスフルートの良さを踏襲しつつ、アルタスの高品位な仕様を特別実装したフルートだ。アイデアの詰まった楽器を、演奏活動のほかラジオパーソナリティなど幅広く活躍中の林愛実さんが試奏した。
吹奏楽層にも人気のアルタスフルート「A1007E」をベースにした島村楽器とのコラボレーションモデルが誕生した。カバードキィタイプの「A1007E/SL」、リングキィタイプでオフセットの「A1007RE/OF/SL」、リングキィ+オフセット+H足部管の「A1007REH/OF/SL」と3タイプから選べるコラボモデルだ。A1007Eとの大きな違いは、上位機種に使用されている「SP1バネ」を採用し、頭部管を特別注文である「Zタイプ」に変更、そして金メッキの反射板を使用しているという3点。従来のアルタスフルートの良さを踏襲しつつ、アルタスの高品位な仕様を特別実装したフルートだ。車のドライバーズアシストのように、“楽器が演奏を助ける”仕様が、ストレスなく音楽を楽しむことを可能にする─そんなアイデアの詰まった楽器を、演奏活動のほかラジオパーソナリティなど幅広く活躍中の林愛実さんが試奏。A1007E/SLの魅力に迫った。
フルートを吹く楽しさをすぐに実感できる
林
歌口のカットが四角いタイプの頭部管は初めて吹きましたが、 とてもまとまった芯のある音ですね! カットの形状でこんなに変わるものなんだと初めて知りました。ほどよい抵抗感があるので吹きやすく、 音がまとまりやすいのだと思います。すぐにでもステージで演奏できるように感じました。低音も芯のある音で出すことができるので、初心者のかたでも、上級者のかたでも、フルートを演奏する喜びを感じられる楽器だと思いました。
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キィの針バネ部分には、アルタスフルートの上位機種で使用されているSP1とスムースなしなりが特徴のバネを採用しているそうですが、操作感はいかがですか?
林
キィタッチは軽い感じではなく、しっかりしていて 、返しのアクションが速いですね。キィタッチが軽いと、速いパッセージを吹こうとすると指が流れてしまうこともあります。その点この楽器は、速いパッセージも一音一音しっかり踏みしめて吹くことができるので、奏者が「こんな音を出したい」と思った時にしっかりついてきてくれますね。
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従来のアルタスフルートでは特別注文の「Zタイプ」という頭部管を装備していて、反射板に金メッキを使用しているのもこのモデルの特徴です。音色に違いは感じますか?
林
ベースとなっているA1007Eもとても柔らかく艶のある音が出せますが、A1007E/SLはより一層“艷やかな音”になりますね。息を強く吹き込んでも音色の艶がなくならないので、高音までしっかり響いて鳴ってくれます。初中級者は高音を吹くと金属的な音になってしまうこともあるのですが、この楽器は金属的な音はかなり抑えられ、“フルートらしい”艶のある華やかな音を鳴らすことができると思います。頑張って吹かなくても鳴ってくれるので、力むことなく自然に演奏できるのも大きなメリットですね。倍音も豊かで、並びもとても安定しているので、気持ちよく吹くことができます。
フルート初心者は音を出すこと自体に悩むことも多いと思います。長く続けるためには、“いかにフルートを楽しむか”がカギ。そういう意味では、この楽器はフルートを吹く楽しさをすぐに実感できるのが最大の魅力ですね!
林
とても出しやすいです! 歌口のカットが関係しているのかもしれませんね。特に低音は息のスピードを下げずに、楽に吹くことができます。フルートのpは、息を絞って吹くことが多いのですが、この楽器はダイナミクスレンジが広いので、イメージ通りに吹けます。低音域から高音域まで、全音域を通して均等な息の強さで演奏できる印象を受けました。
誰かのために演奏するかたにこそ……
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どんなシチュエーションでの演奏に合いそうですか?
林
響きがあり音が立つので、ソロはもちろんですが、吹奏楽やアンサンブルの中でも埋もれないと思います。私が吹いた印象ですが、楽器自体が反響しているように感じたので、小さな部屋や反響板のないところでも十分に響いてくれると思います。サロンや教室、施設での演奏などでも楽器の力を発揮してくれると思うので、誰かのために演奏されるかたにこそオススメしたいですね。あとは、収録現場などでも重宝すると思います。この楽器はマイク乗りが絶対に良いはず!
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35万円(税抜)とエントリークラスには少し高めの価格帯ですが、そのあたりは?
林
確かに決して安い価格ではないかもしれませんが、音色や演奏に対してのイメージ、理想を持っている方にはオススメしたいですね。そこに行きつけるポテンシャルを楽器自体が 持っているので、本当に長く使える 1 本 になると思います。例えば、30代後半~50代で子育てが少し落ち着いたからフルートを再開してみよう!という方がこの楽器を手にしたら、それこそ一生楽しめますよ。
試奏を終えて
今回の試奏では、工場から入ってきて未開封の状態の楽器を、私が初めて吹かせていただいたと聞いてびっくりしました。あまりにも吹きやすいので、すでにいろんな方が試奏しているものだと思ったので……。ケースから初めて出して吹く状態で、こんなにまとまりがあって響きのある音が出せるなんて、どんなポテンシャルを秘めているのか、恐ろしいくらい(笑)。驚きの安定感ですね。ぜひ実際に試して魅力を実感してほしいフルートです。
A1007E(写真上)は歌口のカットがラウンド状なのに対し、A1007E/SL(写真下)の歌口のカットが四角い形状になっているのがわかる。
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●A1007E/SL(Eメカ付き)……¥350,000(税抜)
●A1007RE/OF/SL(リングキイ/Eメカ付き/オフセット)……¥350,000(税抜)
●A1007REH/OF/SL(リングキイ/Eメカ付き/H足部管/オフセット)……¥415,000(税抜)
今回の試奏で比較したモデル
※価格は12月10日現在のもの
林愛実
千葉県習志野市出身、在住。国立音楽大学付属高等学校を経て、国立音楽大学演奏学科フルート専攻卒業、及び弦管打楽器ソリスト・コース修了。洗足学園音楽大学院管楽器科首席卒業。フルートを辻中政恵、野原千代、菅井春恵、大友太郎の各氏に師事。フルート協会主催フルートデビューリサイタルに出演。BS-TBS「日本名曲アルバム」やBSフジ「アートな夜!」に出演。株式会社ソニー・ミュージックエンタテイメント主催、CLASICAL STARSオーディション優秀賞受賞。世界三大ミスコンテストのミスワールドジャパン2019にてTop6、審査員特別賞、タレント部門1位、マルチメディア部門2位を受賞。タイトルホルダーとしての活動や自ら立ち上げた子供のためのボランティア団体「みんなのパーク」での活動も積極的に行なっている。2020年4月からクラシック音楽専門のインターネットラジオ「OTTAVA」でプレゼンターを務める他、語り手として東京シンフォニエッタと武満徹の作品“系図”で共演。表現の幅を広げている。