第17回│熱さよ、冷めないで

僕が子供の頃は、梅雨入り前後はこんなに暑くなかったような記憶があります。まだ7月が始まったばかりだってのに、このむせ返るような暑さの中笛を吹いていると、日暮れには茹で上がってしまいそうなくらいですが、頑なにまだ冷房はつけまいと意地を張っている今日この頃です。こんな気温でも、近所の公園では子供たちが元気に駆け回ったりしていて、それを傍目に、とてもあのエネルギーには敵わないなァとぼんやり思うと、急に自分が歳をとったように感じます。あゝ20代最後の夏……。

僕もまだ一応は若手（のはず）ですが、今年は嬉しいことに自分よりも若いミュージシャンや学生さんと音を出す機会が多く、皆さんの音のエネルギーに感化されることの多い上半期でした。2月の名古屋でのセッションに始まり、3月のLight Music Societyのリサイタル、5月からは鳥取大学のジャズ研究部の皆さんと大ベテランの菊池ひみこさんとのユニットで、鳥取アフター・アワーズ、高槻ジャズストリートなどで演奏させていただきました。普段の演奏でももちろん僕より若いミュージシャンの皆さんと演奏をともにすることはありますが、僕一人で若い皆さんの中に混ぜてもらって演奏することは珍しいので、そうした機会をいただく度に、皆さんの熱量の高さや直向きさにハッとさせられることがあります。暑さになど挫けてる場合ではありません。

高槻ジャズストリート The Bop’sとのステージ

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片山士駿  (かたやま しゅん)
1995年千葉県出身。国立音楽大学ジャズ専修を首席で卒業、矢田部賞受賞。Manhattan School of Music 修士課程を修了。2015年、第46回山野ビッグバンドジャズコンテストにて最優秀ソリスト賞を受賞。フルート奏者の受賞は大会史上初。2016年、米国フルート協会 NFA主催 Jazz Artist Competition Winner Player に選出される。2018年、マンハッタン音楽院へ入学しニューヨークへと渡る。2020年、新型コロナウイルスの影響により日本へ帰国。都内を中心に、自己のリーダーカルテットや、浅利史花(gt), 壷阪健登(pf)と結成した“キリヱ”での演奏活動の他、文化放送70周年記念「朗読劇 WA-GEI 」、「映画『ルパン三世 カリオストロの城』シネマ・コンサート！ and 大野雄二・ベスト・ヒット・ライブ！」等、様々なライブやレコーディングへの参加、TV 出演など、活動は多岐にわたる。これまでに池田篤、大澤明子、斎藤和志、Donny McCaslinの諸氏に師事。
主な共演歴：小曽根真、菊池ひみこ、佐山雅弘、山下洋輔、にゅうおいらんず等（敬称略）